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「竜とわれらの時代」 川端裕人
6月は後半ぐだぐだだったので、一月のまとめは7月末に二ヶ月まとめてします。

竜とわれらの時代 (徳間文庫)竜とわれらの時代 (徳間文庫)
(2005/10)
川端 裕人

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北陸の手取郡荘山村で発掘された40メートルにも及ぶ完璧な竜脚類の化石。発見もつかの間、何者かがその化石を盗み出した。米国の進化論否定の聖書原理主義者やイスラム過激派も動き出す。少年期の夢を孕んだ壮大なスケールの本格恐竜小説。 (「BOOK」データベースより)


いやあ…長かった。

川端氏お得意の、科学に裏打ちされた人間ドラマなんですが、バランスよく書かれていて、読みやすいです。
化石と進化論、イスラム教と聖書原理主義、アメリカの一国主義と対抗する人々、原発という力にすがる自治体、そして何より「竜神さま」と信仰して生きる人たち。
いろんな流れがうねりながら、クライマックスに向けて終結していく様子は圧巻です。

重要な舞台を日本の田舎の村にすえて、方言を上手く使っています。
竜神様にお仕えする文ばあの、何もかも受け入れて大きく見守るような空気感があるおかげで、この本、硬くなりすぎずに読みやすさが増している気がします。
化石を追う男たちだけの話になってたら、多分読み終えられなかったと思います。

ただし、文庫にして800ページ弱。結構時間がかかりました。

(80点)

カテゴリ:川端裕人
テーマ:本読みの記録 - ジャンル:本・雑誌
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「赤い館の秘密」 A・A・ミルン
この本、初版発行1959年ですよ! それからずっと現役なんだなあ、すごい。

赤い館の秘密 (創元推理文庫 (116-1))赤い館の秘密 (創元推理文庫 (116-1))
(1959/05)
A.A.ミルン

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赤い館の主のところに、ならず者の兄が訪れた。二人きりで話し合いをもっていると思われたが、館の中には銃声が響き、残されていたのは一つの死体。もう一人いたはずの人物も煙のように姿を消し・・・。たまたま滞在していた素人探偵二人が謎解きに乗り出すのだが。

江戸川乱歩が選んだミステリ、という古典中の古典です。

財力に物を言わせていろんな職業を点々とするのが生きがいな男、ギリンガム。たまたま次の仕事を何にしようか悩んでいたところに事件に立会い、「そうだ、私立探偵をしよう」と思いつくこの能天気さ。そして「私立探偵をするからにはワトソン役もいなくちゃなあ」と友人を助手に指名するあっけらかんとした感じ。
どこかほのぼのとしたおかしみのあるミステリに仕上がっているのは、この二人の会話の妙によるものだと思います。

手がかりはフェアに書いてあるし、この考え方では間違っているというものも含めて探偵が考えたことも書かれている、ミステリのお手本のような作品です。(兄だということになっている)謎の来訪者、秘書のとった非合理的な行動、秘密の地下通路と、ミステリを盛り上げる小道具もたっぷり。

…が。
そもそもの謎(真相)に大きな穴があります。何でこれ気付かなかったの?といいたくなるような。
(ホームズが仮装の名人だといわれても、180センチ強の男性が女装してたらいくらなんでも解るんじゃない? といったのに近い穴です)←ホームズファンの方ごめんなさい
それも含めて、古典だから仕方あるまい、とゆったり読む寛容さが必要です。

(75点)
この時代の小説としては画期的に読みやすいと思います。会話主体で進むからかしら?

カテゴリ:ハ・マ行
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「二重標的(ダブルターゲット)」 今野敏
シリーズ第一作は抑えなくては・・・!

二重標的(ダブルターゲット)―東京ベイエリア分署 (ハルキ文庫)二重標的(ダブルターゲット)―東京ベイエリア分署 (ハルキ文庫)
(2006/04)
今野 敏

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東京湾臨海署(ベイエリア分署)の安積警部補のもとに、殺人事件の通報が入った。若者ばかりが集まるライブハウスで、30代のホステスが殺されたという。女はなぜ場違いと思える場所にいたのか?疑問を感じた安積は、事件を追ううちに同時刻に発生した別の事件との接点を発見。繋がりを見せた二つの殺人標的が、安積たちを執念の捜査へと駆り立てる―。ベイエリア分署シリーズ第一弾。 (「BOOK」データベースより)

シリーズが結構進んでからの作品を先に読んでいたので、キャラクターがしっかりした作品だという印象はあったのですが、まさか一作目からこれほどくっきりしているとは思ってませんでした。
特に主人公の安住が。ちょっと自己卑下している部分も含めて、かっこよかったです。
二十年前に書かれた作品なので、小道具が古いのはご愛嬌。

捜査手順であれ?と思う部分もないわけじゃないですが、キャラクターの魅力で読みすすめます。

これは、シリーズ続けて読みたくなりますよ。

(74点)

カテゴリ:今野敏
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「クレオパトラの夢」 恩田陸
「MAZE」の続編とうたわれていますが、主人公を除きリンク部分はないので、こちらを先に読んでもいいかと思います。

クレオパトラの夢 (双葉文庫)クレオパトラの夢 (双葉文庫)
(2006/12)
恩田 陸

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妹の不倫の恋を精算してつれもどそうともくろんでいた恵弥だったが、いざ現地に到着すると、不倫相手は死亡していた。ロフトから墜落しての事故死と処理されたが、このタイミングは偶然か。街には不穏な人物たちが見え隠れしていて・・・。

作品の価値とは関係ありませんが、何故この作品は舞台が「H市」なんでしょうかね? 土方歳三が最期を迎えた土地、という部分は伏字じゃないのに、土地土地の名前はH市だったり、G稜郭だったり。なんか微妙に引っかかってしまいました。

家族間のことを理由にして、H市にやってきた恵弥だったが、もう一つ目的があり。
それがクレオパトラと呼ばれるウイルス関係のもので、妹の不倫相手の教授に関係がある、ということがだんだんあかされてきます。
積極的な悪人はいないものの、みんながみんな少しずつ、自分に都合のいいように隠し事をしているものだから、ストーリーはちょっと入り組んできます。
そして前作同様、ラストで真相は明かされない。おそらくこうであろうという仮説が披露されるだけ。

ベーシックな謎解き小説に近いつくりで、読みやすいです。
恩田陸が時々書く、なんだかわからないうちに遠くに放りだされてしまった感じとは違います。
それでもすべてが解明される訳ではないので、自分でいろいろ考える余白はたっぷりあります。

私はそれを面白いと感じました。

北国の風情も、いい感じですよ。
(75点)

カテゴリ:恩田陸
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「無銭優雅」 山田詠美
実はこの本に手を出すのは二度目です。前回は内容についていけずに、半分くらいしか読み進んでいないのに返却期限が来て返したんでした。

無銭優雅無銭優雅
(2007/01/31)
山田 詠美

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「心中する前の日の心持ちで、つき合って行かないか?」人生の後半に始めたオトコイ(大人の恋!?)に勤しむ、四十二歳の慈雨と栄。二人は今、死という代物に、世界で一番身勝手な価値を与えている―。 (「BOOK」データベースより) 

中年に差し掛かった男女の、お互いにおぼれる恋の様子を描いた作品。
といっても、肉欲的なおぼれるではなく、当たり前のようにセックスもかかれているのだけど、それよりもっと、精神的なつながりを書いている話。
当たり前のように、好きだよといい、当たり前のように、あなたがいないと駄目になっちゃう、という。

主人公カップルが大きくなった子供のようで、そこに好感を抱けるかどうかで評価は違うと思います。私は最初、鼻について駄目でした。

最後まで読み通してみると、人生の折り返し地点を(おそらく)過ぎてしまった男女。
誰かのために生きて死ぬということ。
誰かにほれ込んで、甘やかし、甘やかされるということ。
これからの人生すべてをかけて、この人と生きていくという重み。
家族になる前の、男と女だからこその、絆。

なんと言うことのない日常なのに、愛情がぎゅうっと濃縮されてます。
共感できると、はまると思います。

(73点)

カテゴリ:や行・その他
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