このカテゴリーの記事
![]() | こころげそう 男女九人 お江戸恋ものがたり (2008/01/22) 畠中 恵 商品詳細を見る |
江戸・橋本町の下っ引き宇多が、恋しい思いを伝えられぬまま亡くしたはずの、於ふじが帰ってきた――幽霊の身となって! 神田川でこときれた於ふじと千之助兄妹の死の真相を探るうちに、九人の幼なじみたちそれぞれの恋や将来への悩みが絡み合ってきて――ほんのりせつない大江戸青春恋物語。 (e−hon 内容紹介より)
悪くはない、と思うのよ。
幼なじみ9人の絡み合った恋模様を、巷で起こった色々な事件と絡めて書いた連作短編。
結婚年齢になって、恋と跡取り問題と商売の問題と、色々絡めながらそれぞれがこれからの人生を見出していく、という趣向。(何人か死亡してるけど)
ただねえ・・・。
ちょっと書き急いじゃった感じがするんだよね。ただでさえ人数多いというのに、それぞれの個性が余り全面に出てこなくて、「お店の娘でおっとりしている」とか説明されてるんだよね。・・・もったいないなあ。
それぞれのエピソードでは好きなものも多いし、栄治とお染の行く末なんかはどうなるかどきどきしたし、いい場面もいっぱいあったのに、「面白かった!」って諸手をあげられないのが残念。
(73点。・・・苦渋の点数)
![]() | みぃつけた (2006/11/29) 畠中 恵 商品詳細を見る |
5歳の一太郎は病弱で、いつも1人で寝ている。ある日、屋根裏から何か小さな生き物たちの気配を感じて・・・。
ストーリーは平凡です。
普通の人には見えないものが見える子供が、ある日ちいさな生き物を発見して追いかけっこをして、友達になる話。
ちいさな生き物が鳴家だから「しゃばけ」ワールドになるけれど、これが妖精だったり、コロポックルだったり、靴を直してくれる小人さんだったりしても、違和感はないと思います。
この本を支えてるのは柴田ゆう氏のやさしいあたたかいイラスト。「しゃばけ」の世界を支える柱の一本がこのイラストなんだなあ、と実感した本でした。影絵のイラストは秀逸です。
で。
この本のどこが気に入らなかったのかというと・・・対象がどの辺なのか、いまいちよくわからなかったところ、です。
子供向けにしては振り仮名がなさすぎる。
大人向けにしては文章が絵本的すぎる。
結局は、「絵本の雰囲気を味わいたいしゃばけファン」がターゲットなんだろうけど。
そして実際、この本それなりに売れたみたいだけど。
「新潮社、おまえもか」みたいな感じが、しちゃうんですよねえ。
(75点。悪くはない。むしろ好き、なのだけど・・・)
![]() | つくもがみ貸します (2007/09) 畠中 恵 商品詳細を見る |
江戸の片隅、姉弟二人が切り盛りする「出雲屋」。鍋、釜、布団、何でも貸し出す店ですが、中にはちょっと妙な品も混じっているようで……妖怪たちが引き起こす騒動の数々、ほろりと切なく、ふんわり暖かい連作集。 (出版社 / 著者からの内容紹介)
この本に出てくるつくもがみは、確かに妖怪なんだけど、たいした力を持ってるわけじゃない。せいぜい人の見ていないときにちょっと移動するとか、話をするとか、その位。
退屈紛れに貸し出されていった家の噂話を聞き込んできて、出雲屋で色々しゃべり、店主がそれを勝手に盗み聞いて、もつれた人間関係を解きほぐす形、かな。
過去の恨みは出てくるものの、全体に軽めの話で、するする読めます。
予定調和気味のラストも、予想できたものの気持ちいい。
私は「しゃばけ」の方が情が強くて好きだけど、これはこれであり、だと思います。
(72点)
シリーズ6作目、油ののった作品。全5編の短編集。
![]() |
ちんぷんかん 価格:¥ 1,470(税込) 発売日:2007-06 |
火事の煙をすって昏倒した若だんなは、気付くと賽の河原にいた。現世に戻る算段をするが、河原の鬼たちが邪魔をして・・・。(『鬼と子鬼』より)
長編の後だからか、力の抜けた小編集。
兄の松之助に結婚話はでるは、幼なじみの栄吉は修行に精を出すは、若だんなの周りの人間がどんどん成長していくので少しずつ若だんなも影響を受けているような感じ。手代の二人がいまいち活躍してない(というか出番が少ない)のは、彼らは変化しようがないからかなあ。
印象としては、「次作へ向けて力を溜めている感じ」。
よくある「名探偵もの」とは違って、主人公が成長する以上、いつかはシリーズとして終わりが来るんだろうし、だとしたら着地地点を模索し始めたのかもしれない。なんか雰囲気が今までと変わってる。
次作に期待、です。
(75点。この本1冊では可もなく不可もなく)
全部読んでるつもりで(新刊でまだ入手できてないのは置いといて)一冊だけ残ってた本。たまにこういうことがある。
![]() |
ゆめつげ 価格:¥ 1,470(税込) 発売日:2004-10 |
時は江戸時代末期。清鏡神社の禰宜(神官)弓月は、鏡の中に夢を結んで行う「ゆめつげ」という占いを特技としていた。そこへ近所の白加巳神社から、大店の青戸屋の跡取りについて占って欲しいという依頼が来る。しぶしぶ応じて白加巳神社に向かう弓月とその弟信行に、辻斬りが襲い掛かってきて・・・。
まず素朴な感想。江戸時代って神主も世襲制だったんだ? いや、今も世襲って言えば世襲ですけど、神主になるのって試験が必要なんでしょ? (と思って調べてみたらどうやら通信教育とかもあるらしい。HPもリンク集もあった。思ったより奥の深い世界だわ)この辺の知識、ないよりあったほうが断然読みやすいです。どのくらい意識して書いてるんだろう・・・。
青戸屋の依頼は、子供の頃に行方不明になった息子を探したところなぜか三人も出てきてしまったので誰が本物か占ってほしいというもの。しかし、この占いが一筋縄ではいかない上に、どうやら別の集団が神社に潜んでいるらしい。
殺人事件はおこるし、結構どろっとしたストーリーなんだけど、そうは感じさせずに読めるのは作者の長所か欠点か。・・・この作品に限っては、欠点だと思う。しゃばけシリーズの、どこかほのぼのとした読後感は長所だと思うのだけど。なぜなら、途中から弓月の能力が暴走して、何度も倒れる場面が出てくるのだけど・・・どうにも悲壮さがないんだよね。はらはらしない、が近いかな。きっとなんとかなるよ、と思いながら読んでしまう。改めて考えると結構切羽詰った話なのに。
原因の半分くらいは主人公の弓月の性格にあるんだと思うんですがね。
ラスト、実はこの話には大きな陰謀が画されていたことが明らかになるんですが、その辺が・・・ちょっと考えどころ。時代が変わるってことは世の中の仕組みも変わるってことで、それを利用してやろうってひとと、抵抗しようって人がいて当然なのか。ちょっと書き急いでる気がする。あっけなさすぎ。
比べて読むのがいいことかどうかはわからないけど、「しゃばけ」の方が面白いです。
(70点)









