乱読にもほどがあるッ!
趣味? 読書です。毎日欠かさず本を読む、グータラ主婦の読書記録。
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確かにこれは石持さんの好きそうな話だわ。

耳をふさいで夜を走る耳をふさいで夜を走る
(2008/06/17)
石持 浅海

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犯罪者目線の話といえば、「完璧に思えた犯罪計画が犯人のちょっとしたミスによって探偵に暴かれる話」という定型がありますが、この話はそれに当てはまりません。

並木直俊は、決意した。三人の人間を殺す。完璧な準備を整え、自らには一切の嫌疑がかからないような殺害計画で。標的は、谷田部仁美、岸田麻理江、楠木幸。いずれ劣らぬ、若き美女たちである。倫理?命の尊さ?違う、そんな問題ではない。「破滅」を避けるためには、彼女たちを殺すしかない…!!しかし、計画に気づいたと思われる奥村あかねが、それを阻止しようと動いたことによって、事態は思わぬ方向に転がりはじめる… (「BOOK」データベースより)


主人公の並木は、三人の女性を殺さなくてはならないと思い込んでいます。しかしそれは自分が捕まらずに達成できる条件がそろってから、のつもりでした。しかし並木は恋人に命を狙われ、彼女を殺害してしまう。これによって3人の殺害計画は、この夜中に決行しなくてはならないことになりました。彼女が先に俺を殺そうとしてた、これは正当防衛だ、そしてオレはこいつを殺害した後気絶していた、だからあの3人を殺害した犯人はオレではない、という論法で無実となるために。

この後彼が起こすいくつかの犯罪は、ミステリを読みなれている人ならいくつも穴を見つけられるほどずさんなものだし(返り血対策とか)、絶対に成功する訳がないことは解っているのですが、この話の肝はそこではない。
罪を犯す人というのはこうやって自分の都合のいいようにしか物事を考えないのかもしれない。
並木の考え方は普通ではない。どんどん視野が狭くなっていって、考え方も硬直してゆく。
心神喪失状態というのはこういうことかもしれない。
そして最後にいろんな物事が別な方向から光を当てられる、景色が一転する見事さといったら!

犯罪者サイドから描いた黒い話ですんで、あまり万人受けはしないものと思われます。
私もお勧めはしがたいですが、印象に残る話ではあります。

(71点)
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最近ミステリ読んでないなあ…。

君がいなくても平気 (カッパ・ノベルス)君がいなくても平気 (カッパ・ノベルス)
(2009/12/17)
石持浅海

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携帯関連会社ディーウィとベビー用品メーカーのベイビーハンド。業務提携によって結成された共同開発チームは、いきなりヒット商品を生み出した。しかし、祝勝会の翌日、チームリーダーだった粕谷が、社内で不審死を遂げる。死因はニコチン中毒。殺人なのか?犯人は?疑心暗鬼のなか、共同開発チームに所属する水野勝は、同僚で、恋人でもある北見早智恵が犯人である決定的証拠を掴んでしまう…。保身と欺瞞と欲望と。つきつけられるエゴイズムとサスペンスが目をそらすことを許さない、迫真の傑作。(「BOOK」データベースより)


これはミステリじゃなくてサスペンスの方。
同僚が職場で死亡。死因はニコチン中毒。主人公の水野は恋人で同僚の早智恵が犯人だという証拠を発見してしまう。殺人犯の恋人なんて最悪だ、できるだけ早く別れよう、でも彼女に気付いて事を悟られて俺まで殺されては困る、出来るだけ穏便に…。この主人公の気持ちもわかります。やっぱり人を殺すというのは生半可なことではない。
自己保身に走る卑怯者とも思えますが、私はこの人を馬鹿に出来ない。
どうやって別れるか、どのタイミングで別れるか、警察は彼女を逮捕に来るのか、別れるのとどっちが先か、という追い詰められた心境の中で話が進んでいきます。

最後に犯人の動機が明らかになって…というありがちな展開なのですが、犯人でも探偵でも警察でも共犯者でもないという立場からの小説というのは初めて読みました。味わいは他の話とはぜんぜん違う感じ。
ミステリを期待して読むと、ちょっと違うかな、と思うと思われます。

タイトルの意味はラストのラストで解ります。こういう展開、好きです。

(73点)



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世界設定を生かしてトリッキーな作品を書く方、というイメージがありますが。

君の望む死に方 (ノン・ノベル)君の望む死に方 (ノン・ノベル)
(2008/03)
石持 浅海

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膵臓ガンで余命6ヶ月―。“生きているうちにしか出来ないことは何か” 死を告知されたソル電機の創業社長日向貞則は社員の梶間晴征に、自分を殺させる最期を選んだ。彼には自分を殺す動機がある。殺人を遂行させた後、殺人犯とさせない形で―。 (「BOOK」データベースより抜粋)


最初に一言。
これは「推理小説」を読む気で読むと、肩透かし食らうかもしれません。

余命が少ないと知って、自分を親の敵に思っている部下に殺されてやろうと思った社長。効率よく2人っきりになる機会を作るために、研修名目で数人の部下たちを保養所に呼んで、「殺されるための仕掛け」をあちこちに施し、「そのとき」を待つ。

冒頭で、この研修所から警察に「誰か死んでいる」という通報があったことは書かれています。
それまでのことを書いた倒叙式の小説、ということは、ミステリをある程度読んでいる人には想像つくと思うのですが、問題はそれから。
殺されようと思っている人=日向 と 殺そうと思っている人=梶間。梶間は日向の思惑は知らない。どのタイミングで殺人を遂行すれば不自然じゃないか・目撃されずにすむか・凶器は何がいいかと二人で水面下の駆け引きを繰り返していきます。

ところが、日向があちこちに仕掛けた殺人の道具を、(花瓶やアイスピックなんか)こっそりこっそり無効にしていく人がいます。それは誰か。日向の思惑は知っているのか。梶間のことには気付いているのか。・・・ここ、盛り上がるところだと思うのですが、それがまたなかなか難しい。

派手な動きがあってはいけないのです。
あとで「そういえばあの時」と思われてはいけないのです。
だから、水面下でこっそりと駆け引きをする形になります。

その分、どうしてもスピード感や盛り上がりに書けるのは致し方ないところ。これを面白いと思えるかどうかは人によると思います。

(72点。私がどう思ったかはこの点数を見ていただければ)

しかし、こういう作品を書くのなら、やはり石持氏の右に出る人はいないだろう、とも思います。



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この本は表紙が気に入って手に取りました。

Rのつく月には気をつけようRのつく月には気をつけよう
(2007/09)
石持 浅海

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湯浅夏美と長江高明、熊井渚は大学時代からの呑み仲間。毎回誰かが連れてくるゲストは、定番の飲み会にアクセントをつける格好のネタ元だ。酔いもまわったところで盛り上がるのは恋愛話で---。小粋なミステリー連作短編集。 (「MARC」データベースより)

石持氏というともうちょっとがちがちの本格、遊び心少な目を想像して読み始めたのだけど、思ってたより明るくて軽い感じで、読みやすかった。酒の席での恋愛話、というのが力が抜けてる理由かな。深刻な話でも、さらりと口に出来るような雰囲気が、この三人の飲み会にはある。
といっても、伏線の張り方、驚く結末、ミステリとしての醍醐味は十分すぎるほど。「あれが伏線だったかー」と何度うなったことか。

そして、出てくる肴が実においしそう。石持さん、こんな話も書くのね、といった感じでした。

(75点)




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本格ミステリでは時々とんでもない設定のものがありますが、(山口雅也氏の生ける屍の死とか)これもどっちかって言うとそのタイプ。

BG、あるいは死せるカイニス BG、あるいは死せるカイニス
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2004-11-30

石持浅海 東京創元社ミステリフロンティア

人類、生まれたときは皆女性、その中から肉体が頑強で、生物的に優秀な個体が男性に変化する。確率は4分の1程度。主人公遙の姉、優子は男性化の候補として周りに見られていた。ところが彼女は、まるでレイプされたかのような状態で発見される。男性が少ないこの世界では、子作りはほとんど義務で、男性が女性をレイプする事件なんてほとんど起こらないのに。警察が、マスコミが、事件の真相を追う中、新たな遺体が発見され、事態はますます複雑に。

これが、世界の細部までよく考えられていて、(家族の生活の仕方とか、やられた!と思いました)しかも説明くさくなく、女子高生の平易な言葉で書かれてる。奇妙な生物学者とか、都市伝説とか、興味をひっぱる謎は沢山で、でも、難解ではない。殺人の動機も、この世界でないと成り立たないよう、うまく配置されてる。

破天荒な舞台での端正なロジック。佳品です。こういう世界が嫌いでない方、ぜひどうぞ。




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