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![]() | ぐるぐる猿と歌う鳥 (ミステリーランド) (2007/07/26) 加納 朋子 商品詳細を見る |
急に北九州に引っ越すことになった高見 森(タカミ・シン)。平屋が並ぶ社宅にも、北九州弁で話す子供たちにも馴染めずにいたのだけど、「パック」と名乗る子供に出会い・・・。タイトルの「ぐるぐる猿」「歌う鳥」はナスカの地上絵から。
少なくともこれは狭義のミステリ、ではないです。解くべき謎があって、手がかりを求めていくタイプの話ではない。じゃあ何かというと・・・うーん、児童文学かなあ。
転校して、その土地に馴染めずにいる、でも腕白坊主の少年が、近所の子供たちと協力して悪巧みをしているうちに打ち解けあっていく話。ハックルベリイ・フィンとか、あっちの系統の話だと思います。
主人公のシンは、本当に腕白坊主で、考えるより先に体が動くタイプ。運動神経は抜群で、机に座っているのが苦手、というよくあるタイプの少年なんですが、語り口がほのかにやわらかくて、憎まれっ子というタイプではないです。これは加納氏の人柄かも。
同じ社宅に住んでいるココちゃん、トトキ、竹本5兄弟なんかも、「ああ、わかってるなあ」と思う性格付けで、まさにストライクな感じ。
作中に、「謎」と呼べるものはいくつもあるし、「探偵役」のような人物もいる。ちゃんとプロローグから引っ張ってきた謎もラストには解かれるし、はみ出してる部分はないのだけれど。
「序章みたいな感じだなあ・・・」って思いました。
人物紹介のお話、というか。まだこなれきってない感じ、というか。続編が出たら、面白そうだなあ・・・。
(期待を込めて、75点)
![]() | スペース (創元クライム・クラブ) (2004/05/31) 加納 朋子 商品詳細を見る |
お正月の買い物に生かされた駒子は、警備員のアルバイトをしている瀬尾さんと偶然会う。彼に「謎」をプレゼントすべく、手紙を送るのだけど・・・。 (スペース)
家族から離れて一人暮らしを始めた「私」は、となりあっているアパートからもれ聞こえてくる男性の声が気にかかって・・・。 (バック・スペース)
この本の評価は・・・すごく、しにくい。
一応、この本単独で読んでも読み物としての面白さはあるけど、絶対絶対駒子シリーズ(七つの子・魔法飛行)を読んでからの方が面白いと思うのだ。
瀬尾さんと駒子との関係とか、この本の出だしではさっぱり解らない。
そして、この本・・・出てくる「謎」、何が謎なのかわかりにくいんじゃないかしら。読みなれてる人なら途中で、「ああ、この××は○○のことだな」って見当つく。私はついた。そうするとここが不合理だから、こうなってこうなって・・・ああ、なるほど、って感じ(ネタバレを避けていると訳わからない文章になってしまう・・・)。しかし、その、最初の取っ掛かりがつかめないと、どういうこと?って思いながら読むんじゃないかなあ。
かといって、大学生の女の子の日常生活の話として読むかといえば・・・これは、お勧めできない。悪い出来じゃないけれど、もっと読ませる本はある。
結論。
ちょっと半端じゃないですか? 「モノレールネコ」の謎と長さのバランスがちょうどいいと思うんですが。
(・・・悩みつつ、70点)
![]() | モノレールねこ (2006/11) 加納 朋子 商品詳細を見る |
「待つ」のが苦手な主婦が、夫を待つ間に時間をつぶすのはジグソーパズル。フリーマーケットで買った白いパズルの中に、何かが潜んでいる気配がして・・・。(パズルの中の犬より)
全8話の短編集。
多分、しいてテーマをあげるとすると、「絆」になるのだと思う。
無条件で愛してくれる家族。
本名も知らない文通相手。
限られた時間を共に過ごしてくれる人。
ひとと人とのつながりは、はかないけれど、ほんのりあたたかい。
芯から悪い人が出てこないってのは加納氏の作品の特長だと思うんだけど、この本も例にもれず、やわらかくてあたたかい話。
でも、深く突っ込んで考えると、結構深刻な話なんかもひっそり紛れ込んでいて、なのに読後感がほのぼのするのは加納氏の文章力だと思う。
一番好きなのはラストの「バルタン最期の日」。ザリガニの視線から見た、おっちょこちょいで明るいお母さんと、その家族の話。・・・実はちょっと泣けた。
(80点。この手の話、大好きだ〜)
| レインレイン・ボウ 価格:¥ 560(税込) 発売日:2006-10 |
集英社文庫
高校を卒業してから10年弱、同じソフトボール部(弱小・部員9名)で活動していた部員の一人が心不全で亡くなった。お通夜に再会した部員たちの、今の生活を描く連作短編集。
もちろん加納氏がただの短編集を書くわけがなくて、それぞれの短編には小さな謎とその解決が、そして全編通して、亡くなった元部員の死についての謎が根底に流れております。
とはいっても、実は殺人事件で、とかいった陰惨な話ではありません。
作中人物は大体25歳弱。高卒で就職したり、看護学校に行ったり、大卒で就職したりと、条件はさまざまだけど、おおむね就職して何年か経ち、会社の仕組みや同僚との関係を理解し始め、(一人だけ結婚して二年という人がいるが、条件は一緒)自分の人生の先が見えてきて、本当にこれでよかったの? と悩みだす年頃。
この登場人物が、なんだかんだいっても、実に前向きな人達ばかりなんだな。トラブろうが、悩もうが、最終的にはちゃんと進む方向を見つけられる。
日常の謎系のミステリとしても秀逸ですが、同じ年くらいの女性が読むと違う感慨があるかもしれない。おすすめします。
(私は年取りすぎて、そんなころもあったなあと振り返る立場ですが)
男性が読むとどうなんだろう?
これはミステリなんでしょうか。この前作「ささら さや」はミステリなんだけど。カテゴリわけって難しい。
| てるてるあした 価格:¥ 1,785(税込) 発売日:2005-05 |
加納朋子 幻冬舎
高校進学直前、親が作った借金のせいで夜逃げすることになり、遠い親戚を頼って佐々良市にやってきた照代。無事住むところは手に入れたものの、居候先のおばあちゃんからは「さっさと一人立ちしろ」と口うるさく言われ、肩身の狭い思いをすることに。その上、正体不明のメールが届いたり、幽霊が見えたりと大変なことばかり。実は幽霊の正体は…。
これは、照代のキャラクター造形が上手い。どこにでもいる、普通の、世間知らずでちょっと自己中心的な女の子。世間知らずというのもちょっと違うかも。普通に中学生生活していれば、暮らすのにどのくらい物入りで、そのためにはどのくらい収入がないと駄目だとか、年を取って老人の域に達すると、生活上どのくらい変化するのかとか、知らなくてもぜんぜん問題ないもんね。親掛かりで生活していたら、急に「夜逃げするよ」とか言われたって、そんなの私のせいじゃない!としか反応できなくても当然。
でも、そこで終わらないのがいいところ。短期でも何でも、働くことを覚えて、進路を決めて、勉強して、色々あきらめるところは割り切って、進んでいく。
人によっては、ご都合主義とか、甘いとか、いわれかねない展開だとも思うんだけど、私は好きです。








