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「パスカルの恋」 駒井れん
この人の名前はいったいどこで知ったんだろう。ほわっとした表紙が気になって、読んでみました。

パスカルの恋パスカルの恋
(2003/08/06)
駒井 れん

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休職中の「私」は、「藤沢さん」を待つための毎日を送っている。毎日、いろんなにおいを連れてやってくる藤沢さん。切ない、透明な恋の話。

ちょっと説明が足りなくて、最初はてっきり不倫の話なのかと思った。毎日家にやってきて、一緒に夕食を食べて、帰っていく人。彼の帰っていく先には、家族がいるのだと思った。中盤くらいまで読み進んでようやく、家族はいないことに気づく。(しかし彼の抱えているのは、もっと大きな存在かもしれない)
母親の再婚や友人のうまくいってない恋の話なんかも交えつつ、でも淡々と話は進む。
文章なんだと思う。どこか現実離れした、涼やかさ。

調べてみたら児童書出身なのね。だからこれだけ生臭さがないのか。
さらっと読み流してしまいそうな感じの本でした。

(72点)

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「夏の少年」 川西蘭
ここ一月、カウンターが異常な回り方をしてます。これが夏休みの「読書感想文効果」かー。学生の皆さんには余り参考にならない文章ですまないねえ。

夏の少年夏の少年
(1997/07)
川西 蘭

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父の死。それは少年時代の終りの幕開けだった。炎上する秘密の小屋、夜の城跡での肝試し、少女の弾いたショパン。夏の夜の花火のように美しく儚い、鮮やかな「少年時代」の残像を描いた、著者初の連作小説。(「MARC」データベースより)

大人になってから、「あの夏はこうだった」と振り返って書かれた連作集。
今現在の生々しさや激しい感情の揺れはないけれど、子供が大人になるひと夏を書いた佳作。
子供たちが集まって「秘密基地」を作ったり、それが思いもよらなかった欠陥を持ってたりして、ああ、「昔の少年」の話だなあ、と思った。

うーん。面白かったけどあと一歩。考えてみたら今から10年前の作品。最近書かれた短編を読んでいたく感服したてから、他の作品はどうかな?と読んだんだから、昔のが物足りないのも仕方ないかも。

(72点)

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「欲望」 小池真理子
これは「夏の100冊」を見ていて、そういえばこの人の本読んだことないなあと思って借りた本。

欲望 (新潮文庫)欲望 (新潮文庫)
(2000/03)
小池 真理子

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三島由紀夫邸を寸分違わず模倣した変奇な館に、運命を手繰り寄せられた男女。図書館司書の青田類子は、妻子ある男との肉欲だけの関係に溺れながら、かつての同級生である美しい青年・正巳に強くひかれてゆく。しかし、二人が肉体の悦びを分かち合うことは決してなかった。正巳は性的不能者だったのだ―。切なくも凄絶な人びとの性、愛、そして死。小池文学が到達した究極の恋愛小説。(「BOOK」データベースより)


一言で言うと、官能小説です。

ただし、いわゆる「エロ小説」とは違います。そのものずばり、行為についての描写はほとんどない。なのに、どうにも、官能的。
肉の悦びを求めるだけが官能ではなく、決して交わることがなくともふっと匂いたつような思いがあふれる時がある・・・。
そういう小説。

この本読んでたら、どうにも三島由紀夫が読みたくなりました。未読なんですが、彼の作品は本当にこんなに官能的なんでしょうか。

(70点)

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「酸素は鏡に映らない」 上遠野浩平
ミステリランド、やっぱり面白いなあ。なかなか価格的に全部追いかけるわけに行かないのが残念無念。
酸素は鏡に映らない (MYSTERY LAND)酸素は鏡に映らない (MYSTERY LAND)
(2007/03/30)
上遠野 浩平

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クワガタを追って公園に駆け込んだ健輔は、未来を予告する不思議な青年に出会う。彼はどうやら世界の支配者らしいのだが? 彼を事故に巻き込みかけた元特撮ヒーローの守雄と友に、健輔は幻の金貨を探すことになるが・・・。

どうやら、上遠野氏のほかの作品とリンクしてるみたいです。私はほとんど読んでないんで、よくわからないんですが。それを暗示する、意味ありげな描写が所々に見られます。

が、そんなのはどうでもいい。そういうもんなんだ、とまるのみで十分。
単発作品としても、金貨を探すミステリとして、十分楽しめます。活発な少年と、ちょっとオタクな(でも隠してる)姉、ひねくれかけてる元ヒーローという取り合わせも面白い。
子供たちに振り回される大人(こういう人達は大体悪巧みをしている)との対比も秀逸。

予備知識があったらもっと面白かったんでしょうか。十分楽しめましたが。
(75点)

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「ツクツク図書館」 紺野キリフキ
大体、脚本家の書いた小説と言うのは面白くない。地の文がト書きみたいで、描写力に欠けるから、だと思っている。

ツクツク図書館 (ダ・ヴィンチブックス)ツクツク図書館 (ダ・ヴィンチブックス)
(2008/02)
紺野 キリフキ

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「つまらない」本しか置いてない「ツクツク図書館」。そこで、「本を読む」仕事をすることになった着膨れた女。女は仕事もしないで我が儘三昧だが、この図書館の職員はみんなみょうちきりんな人たちで・・・。

ところが、脚本にも色々あって、TVドラマと舞台とではちょっと話が違う。
TVドラマだと、背景がない芝居と言うのは考えられないが、舞台だとありうる。背景はホリゾントに一色、舞台装置は中央に平台一枚のみ。これで「狭いワンルームマンション」・「一面の田んぼ」「バスの中」「夜の墓地」なんかを演じ分ける演出、というのはしばしば見かける。それを可能にするのは訳者の演技力と、脚本家のイメージ喚起力にとんだセリフ、ではないかと思う。

そういう意味で、この小説は成功している。
詳しい描写には欠けるのだけど、それによってイメージが膨らむ感じ、というか。ちょっとシュールな世界観ともよくあっている。
セリフの羅列でも、登場人物を見分けられると言うのは、やはり「演劇的な」手法のような気もする。

そして、膨らんだイメージがまた魅力的。
本の種類別に分けられたいくつあるかわからない部屋、そこで働く謎の職員たち。もう、断然、「こんなのかなー」と妄想を膨らませながら読むのが正しい本です。

(80点)

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