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「21 twenty one」 小路幸也
最近、ちょっとこの人の書きたいものと私の読みたいものがずれてきてる気がして、「新刊? 読む!」って勢いがなかったんですが、この本はどんぴしゃ。

21twenty one21twenty one
(2008/06)
小路 幸也

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21世紀に、21歳になる、21人。中学生になった日にそういわれ、それ以来十年、強い絆で結びついてきた21人。ところが、21人の中の一人、晶が自殺してしまった。それも思い出の教室で。彼は、なぜ、死を選んだのだろうか・・・。

これは最初に書いておこう、この話はミステリではありません
誰かの陰謀が彼を死に追いやったとか、自殺に見せかけた殺人だとか、そういう話ではない。

しかし、それでも25歳というまだまだ若い青年が死を選んだわけだから、周りの人間は彼の生前を振り返って、いろいろ考え込むわけです。
あの時、ああ言わなければ。
あの時、もう少し親身になってやれば。
あの時、彼のサインに、気づいてやってれば。
それは、仲間だと思っていたなら当たり前で、まさに「悼む」というにふさわしい行動。

ただそれだけの話なのだけど、この思いは切実で、リアルにぐっと胸に来る。
生きてるってすごいことなんだ、と思わせてくれる。

これは、多分、何度も読み返すたびに、感じるところが変わる本。

(88点)

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「スタンド・バイ・ミー―東京バンドワゴン」 小路幸也
シリーズ第三巻。そりゃもう大変楽しみにして、発売直後に買いました。感想が遅くなったのには訳があります。

スタンド・バイ・ミー―東京バンドワゴンスタンド・バイ・ミー―東京バンドワゴン
(2008/04)
小路 幸也

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大人気の東京バンドワゴンシリーズ第3弾!
古本屋を営む平成の大家族が、古本と共に持ち込まれる事件の数々を家訓に従い解決する、涙と笑いのラブ&ピース物語。今回は、あの昭和のスターが愛のために奔走する!? ますます元気な第3弾!(アマゾン・出版社 / 著者からの内容紹介)

うーん、うーん、どこのレビュー見てもすごく評価高いのですが、私はこの本薦めきれない・・・。
何でかというと、すごく単純、「日常の謎」系として始まったはずのこのシリーズ、ここにきて「謎」より「日常」の方に重心が移ってきているから。
私はミステリ好きなんで。そういう部分はちょっと、残念に思います。

ただし、そういう先入観を除いて、人情ドラマとして読めば実にいい感じ。いつもの堀田家、古きよき大家族、下町の人情、支えあい。色々な出来事があったものの、押しなべて平和。
赤ん坊の育つのにあわせて、家族一様にメロメロになっている感じもよく出てます。

小路氏の作品、最近全般的に「謎解き」より「そのとき起こった人々の感情」の方が重視されるようになってきてるかな。もともとそういう傾向はあったんだけど・・・。「ここで盛り上がるかな?」と思って読んでると肩透かし、でも本を閉じた後あたたかい気持ちになる、というか・・・。
「人生の中の劇的な瞬間」を切り取った一冊ではなく、「長く続いていく人生の中の一年を抽出」な感じ。

いい本、です。

(82点)

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「高く遠く空へ歌ううた」 小路幸也
もう! もうてっきり、小路さんの本は読みつくしたと思ってたんですが、何故かこれだけ落としていたと文庫を買ってから気付くていたらく。気付いてよかったわ。

高く遠く空へ歌ううた (講談社文庫 し 80-2)高く遠く空へ歌ううた (講談社文庫 し 80-2)
(2008/02/15)
小路 幸也

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港に霧が出た夜には「赤眼の魔犬」が現れ、次の日には必ず人が死ぬ・・・。高くて広い空に囲まれた町で暮らす少年・ギーガン。また見つけてしまった10人目の死体・・・。  (裏表紙より)

裏表紙の説明文に、「優しいミステリー」と書いてあるのだけど、多分、これはミステリーではない。というか小路さんの本で、私が「これはミステリーだなあ」と思える作品は何冊かしかない。なぜなら、解くべき「謎」が存在しないから。
いや、どうしてギーガンが死体を発見するのか、とか、「赤目の魔犬」とは何ぞや、とか、もっというなら何でこんなにこの町では人が不審死するのか、とか、謎と呼べるものは色々ある。ただ、小路さんはその謎を解くための話としてこれを描いてはいない。
前半は、「左目が義眼で、父親が自殺して、感情表現が出来ない」少年のギーガンと、彼を取り巻く少年少女たちの物語。青春群像的。
後半は、前述の「謎」の解決編に当たるのだろうけど、これが微妙に解決してない。「こういうことだったんだよ」とは書かれているのだけど、全部にわかりやすい回答があるわけではないというか。(だからミステリとはちょっと違う、と思う)

ただし。
この話は、それでもいいのです。
それがいいのです。
この話の肝は、一連の事件を通して少年たちが成長するところと、それでも友情は揺らがないところ、かな。
世界というのは広大で、すべての謎がわかりやすく解けるわけではない。
それでも、「ここ」って根がある人は、幸せになれるだろう、と、そんな夢のような事を考えてみたり。

解りにくいですが、そんな本です。

(80点。児童書として再発行されても、ニーズありそうな気もする)

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「HEARTBLUE」 小路幸也
これで一つ宿題を終わらせた感じ。一安心です。

HEARTBLUE (ミステリ・フロンティア 40)HEARTBLUE (ミステリ・フロンティア 40)
(2007/12)
小路 幸也

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ある朝、ニューヨーク市警失踪人課のワットマンのもとへ、少年が訪ねてきた。昔、「地下」で一緒に住んでいた少女の行方を捜して欲しいんだ、と。一方、CGデザイナー巡矢も、ワットマンに関係する少女を別なルートで探しはじめ・・・。

この話も、二つの章がかわるがわるに語られ、後半一緒になる、という形式のもの。
舞台がNYなこともあってか、暗い、救われない事件が連続しておきる。
(タイトルのBLUEはブルーフィルムにかけてるのかな?)
アメリカでは、「子供を育てられない親」のもとに生まれてしまった子供たちのために、色々な形で養子縁組などが成されているが、その裏におこり得る哀しい出来事が主軸の一つ。

はっきりいいましょう。
前作よりずっと好み。

小路氏の物語は、「謎」が解けて、真相が明らかになって、めでたしめでたし、ではない。
その謎にかかわった人たちが抱えてる誰かを大切に思う気持ち、書かなくても物語としては成立するが、あると世界がぐんと深くなる部分、これがラストにあって、泣かせるのです。
事件は暗いが、読後感は苦くない。
こういう話、好きです。

(89点)

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「HEARTBEAT」 小路幸也
読んだはいいが、感想をあげていなかった1冊。好きな作家さんの本って、逆に語りにくいこと、ある。

HEARTBEAT (ミステリ・フロンティア)HEARTBEAT (ミステリ・フロンティア)
(2005/04/25)
小路 幸也

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優等生の委員長と不良少女の淡い恋。できすぎたシチュエーションかもしれないけれど、すべてはそこから始まった。彼女が自力で自分の人生を立て直すことができたなら、十年後、あるものを渡そう―そして十年が過ぎ、約束の日がやってきた・・・。 (「BOOK」データベースより)

今日は毒舌バージョンで。ファンなんですが、それでもいいたいことはある。

NYの暗闇から帰ってきた青年が、昔馴染みと組んで、現れなかった彼女を探す章。
母親の幽霊騒ぎに揺れる資産家の跡取りの小学生を中心にした章。
二つの話が絡んでいるのがだんだんわかるようになり、盛り上がるのか?と思ったところで失速。・・・これだといいすぎか。このストーリーは、劇的な解決とか、どんでん返しとか、そういう一見派手な展開を必要としていない、んだろうな。
いや、うん、読んでいる間に、「これは違うんだろうなあ」と思ったのよ。ミステリではないと。・・・違うな。「勧善懲悪の、わかりやすいストーリーではない」。こっちかな。幽霊騒ぎの真相を解いて、彼女を見つけて、一件落着という話ではない。事件ではなく、それにかかわった人の「こころ」を書いている話。
たとえば。
彼が暗闇から戻ってくるまでの物語。あの部分だけを膨らませて、みっちり書き込んで、「泣かせる」話を書くのは、小路氏なら簡単だと思うのね。子供たちとのふれあいも、落ちてゆく過程も、執念も、・・・そして訪れる迷いも、全部書き込めば、「わかりやすく、泣ける」話になる。「売れる」ための話に。
でもこの話は、状況説明にとどめてる。淡々と語られることで、読者に任される部分の多さ。レビューでは伝えようのない「作中の空気」と、「残る余韻」。

この本を読むときは、心に余裕があるときに。
ゆったりと、隅々まで味わいながら読むのがいいんじゃないかと。

(80点)

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