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「月の裏側」 恩田陸
SFだ! これはぜひ、作中と同じ季節、6月〜7月前後に読むのが気持ち悪くて楽しい。

月の裏側 (幻冬舎文庫)月の裏側 (幻冬舎文庫)
(2002/08)
恩田 陸

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九州の水郷都市・箭納倉。ここで三件の失踪事件が相次いだ。消えたのはいずれも掘割に面した日本家屋に住む老女だったが、不思議なことに、じきにひょっこり戻ってきたのだ、記憶を喪失したまま。まさか宇宙人による誘拐か、新興宗教による洗脳か、それとも?事件に興味を持った元大学教授・協一郎らは〈人間もどき〉の存在に気づく……。 (出版社/著者からの内容紹介より)

最初は失踪事件を追うミステリっぽい作品なのかと思っていたら、気付くと非常に気持ち悪いSFになっていました。生理的嫌悪感がつかれまくりで、それなのに先が読みたくなるジレンマ。「うーわー」と心の中で何度叫んだことか。

老女たちの失踪中の記憶がないというのが非常に重要な伏線で、そこから「自分の記憶は本当に連続しているのか」と否応なく考えさせられるあたりが気持ち悪さの原因か。
単に、「同じ形の粒々が並んでいる」というのも、私にとっては気持ち悪さの原因で、(蛙の卵とかね)そういう意味でも非常に「気持ち悪い!」作品でした。

作中の雰囲気は最高。ぞくり、とします。

(83点! この作品、「気持ち悪い」は褒め言葉)

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「いのちのパレード」 恩田陸
恩田陸の長編が読みたい。ワンアイディアで書いてしまう短編より、断然長編の方が好き。

いのちのパレードいのちのパレード
(2007/12/14)
恩田 陸

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恩田ワールドの原点<異色作家短編集>への熱きオマージュ。ホラー、SF、ミステリ、ファンタジー……クレイジーで壮大なイマジネーションが跋扈する、幻惑的で摩訶不思議な作品集。 (帯より抜粋)

残念ながらこれは短編集。
ああ、恩田陸って人はSFの人なんだなあ、と実感させられる作品でした。

こぎれいな、細かいつじつまあわせより、読者の想像の枠を飛び越えてしまう、イメージの連なり。どこかで曲がり角を間違えて、しらない道に迷い込んでしまった時のような、不安定な感じ。
これが実に鮮やか。

読後感がすっきりしないのも、味。

一番好きなのは「隙間」。
ホラーと見せかけて、ミステリ的に落ちるのか? と思ったらやっぱりホラーだった。この一ひねり余分な感じが、実に恩田陸らしくて、好き。

(75点)

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「中庭の出来事」 恩田陸
演劇に興味のある人はぜひ。読みごたえあるよ。

中庭の出来事中庭の出来事
(2006/11/29)
恩田 陸

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瀟洒なホテルの中庭。こぢんまりとしたパーティの席上で、気鋭の脚本家が不可解な死を遂げた。周りにいたのは、次の芝居のヒロイン候補たち。自殺? それとも他殺? 芝居とミステリが融合した、謎が謎を呼ぶ物語のロンド。  (「MARC」データベースより)

難しい! けど面白い!

ホテルの中庭のレストランで殺された脚本家、主役候補だった女優たちが彼の死の真相を探る章。
高層ビルに囲まれた商店街の中庭で死んだ女性の謎について、旅人たちが道すがら推理を交わす章。
脚本家が、新作について博識の友人に相談を持ちかける章。
そして脚本家の死について取調べを受ける女優たちの姿を描いた脚本。

これらが交錯しながら話が進んでいく。一つの話で出てきた場面が、わずかに姿を変えながら別な話に出てくる。どれが実際に起こったことで、どれがフィクションなのかはっきりしない、めまいのような世界。この章は劇中劇なのか、それとも作中で一番外側の、「実際にあったこと」として書かれているのか、わかりそうでわからない、もどかしい感じが最高。

こういうのを読むと、「恩田陸ってSFの人だよなあ」と思う。がちがちのミステリファンには、こういう、ぐらぐらする、割り切れない世界を、魅力的に書くのは難しいだろうなあ、と思う。
全体の整合性とか、細かな伏線とか、その辺について突き詰めるより、幻惑されながら丸呑みで進む方が面白い。

謎はすべて解けた、という終わり方ではない。
恩田陸の作風を考えても、そういう筋の通し方は彼女らしくない。
この作品はこれでいいと思う。・・・納得行かない人はいるかもしれないけど。

(75点)

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「木洩れ日に泳ぐ魚」 恩田陸
図書館の新刊コーナーで見かけて、そのまま借りました。けど、本に押してある図書館名、隣町のなんですけど・・・借りてよかったのか?

木洩れ日に泳ぐ魚木洩れ日に泳ぐ魚
(2007/07)
恩田 陸

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同居していた部屋から、荷物を全部運び出した男女。今晩で二人の生活は終わる。その前に、「あの男」について話をしなくては・・・。

最初は、元恋人がなんかの事情で別れることになったのか? と思った。その割に穏やかだなー、でもこんな別れもあるのかなーって。そしたら「あの男を殺したのは」とかでてくるし、話がどっちに進むのか、興味津々。
ところが読み進むうちに、二人はきょうだいだってでてくる。それにしては雰囲気が違うんだけど、と思ったらそれもそのはず。(読んでない方のために自粛)

一組の男女の、別れと旅立ちの話。
絶望と安堵の話。
それでいて生臭くない、秋の夜風のような話。
心理劇を見ているような感じがしました。けっこう好き。

(78点)

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Q&A 恩田陸

この本を読んでいる間中ラーメンズのコント「Q&A」が頭をよぎりっぱなしでした・・・。内容はまったく関係ありません。

Q&A Q&A
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2004-06-11

これからあなたにいくつかの質問をします。ここで話した事が外に出ることはありません−−−。

この話はこんな台詞で始まる。タイトル通り、「質問」と「答え」のみで成り立っている話。

大型スーパーのMで火災が発生と通報。実際には火災ではなかったのに、死亡者69名、怪我人は100名を超える。毒ガスともテロとも噂が流れるが、いまだ真相は不明。被害にあった人、その周辺の人、誰かが誰かに質問をしながら、話は進んでいく。

答える人の名前・職業・年齢などは章が変わる最初の一ページで明かされるが、質問者の素性は解らない。最初は、この質問を通して何があったのか解き明かされる、ドキュメンタリータッチの小説かと思いながら読み進めたのだけど、よく考えたら恩田陸氏がわざわざそんな話を書くわけがない。途中で違う方向に話は曲がっていく。

そして、この話の底にあるのは、多分「憎悪」。そこまでひどくないかな、じゃあ「悪意」。人間は自分を守るためなら残酷なことをすることもある。相手を見くびって利用することもある。聖人君子の世の中ではない、そんな話。

ダークです。結構苦い話です。不条理感満載の、恩田陸ワールドです。ファンにはやめられない世界。

(70点。点数がいまいち低いのは、ファンじゃない人には不満が残ると思うので)

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