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![]() | 生存者、一名 (祥伝社文庫) (2000/10) 歌野 晶午 商品詳細を見る |
鹿児島の遙か沖の孤島、屍島に六人の男女が降り立った。彼らは都内で爆弾テロを行なった四人の実行犯と二人の幹部だった。翌日、幹部の一人が船とともに姿を消し、残りの五人は文字通り絶海の孤島に閉じ込められた! 組織に対する疑心と、食料をめぐる仲間同士の暗鬼。やがて、一人また一人と殺されていく…。犯人は誰か? そして、最後に生き残る者は。(「BOOK」データベースより)
ミステリです。クローズドサークルです。孤島ものです。
ある程度知識のある方なら、「そして誰もいなくなった」を連想されるかと思うのですが、まさにそんな感じです。
テロの実行犯が一つの島に置き去りにされ、いつか組織が助けに来てくれるのか、くれないのか、食料はいつなくなるのか、そういう不安の中で殺人が起きるという筋立てです。テロに関わっているから、警察や海上保安庁に助けを求められないことになってます。やや強引な気もするけど、傷と言うほどではありません。
ストーリーの合間に、「すべてが終わった後、この島で死体が発見され、捜索が行われた」ことを示す新聞報道風の文章が挿入されています。そこで冒頭から、「生存者は一名」と書かれているんですね。
つまり、この作品中では全滅はない、誰かが生き残るんです。読者はそれを知っています。けれど、それが誰なのかは、最後の最後まで明かされない。考えながら読むのも楽しみの一つ。
叙述トリックの雄、歌野晶午の作品ですから、きっちり騙してくれます。こう書いても、読書中の興をそがない自信があります。何回かひっくり返されますから。「そうきたか!」な感じ。
それでいて、決して冗長ではない、コンパクトにまとまった構成。これぞミステリ! までいったらいいすぎか。
(85点)
![]() | ハッピーエンドにさよならを (2007/09) 歌野 晶午 商品詳細を見る |
望みどおりの結末になることなんて、現実ではめったにないと思いませんか? 小説の企みに満ちた、アンチ・ハッピーエンド・ストーリー。(帯より) 全11話の短編集。
これがもう、タイトルどおりどれもこれもハッピーエンドにあらず。
そして、さすが「葉桜」の歌野氏、ラス前でひっくり返してくれる手腕の見事さ。ラスト一行まで気が抜けない!
まあ、言ってしまえば叙述トリックが仕掛けられている話が多いのだけれど、それがわかってて読んでも、「これはどっちにひっくり返るんだ?」「この話は叙述トリックなのか、違うのか?」と考えながら読める。十分、読ませてくれる。
で、私はこれ「長所」だと思うんだけど、殺人や家庭崩壊なんかの暗いテーマを扱ってても、奇妙に乾いている感じで、重くない。それでいて不自然なほど機械的でもない。いいバランスの作品。
(80点。騙されるのも快感)
| 家守 価格:¥ 660(税込) 発売日:2007-01-11 |
光文社文庫
昨日書いた「λ」についてやりすぎだったかと思い、フォローの意味も込めて「F」について書こうとしたのだけど、上手くまとまらず断念。近いうちに必ず。
で、息抜きがてら読んだ正統派ミステリ短編集。
帰宅した夫が発見したのは妻の死体。死因は窒息。家全体が完全に戸締りされた密室状態で、他人の出入りの余地はないため、ナイトキャップが顔にかぶさったのが原因の事故死と見られたが、捜査員の一人が不自然な点に気付き…。(表題作より)
「館物」系、密室物、謎のアルバイトなど、いろんな味付けをしつつテーマは一貫して「家」。それも人の住む家。そこでおきる事件(事故?)。
派手な作品ではない。むしろ地味。けれど端正な、王道のミステリ。伏線の張り方、ストーリーの展開、どれをとっても名手の手による作品だなあと思わせる。初心者が読むにも適してるかも。ときどきこういうのが読みたくなる。といっても古い感性の作品というわけではないので、ご安心を。
私が好きなのは「埴生の宿」。どこに向かってるんだ? と思いつつ読み進めた。トリックのさじ加減が絶妙。
| そして名探偵は生まれた 価格:¥ 1,785(税込) 発売日:2005-10 |
歌野晶午 祥伝社
歌野晶午といえば「葉桜の季節に君を想うこと」ですが(気持ちのいい叙述トリック。このミス1位も頷ける)、その流れを汲んだ密室トリックを3編収録。
久しぶりにミステリらしいミステリを読んだ気がする。やっぱりいい。上手にだましてもらった。
各作品について言いたいことがないでもないけど、それはちょっとおいといて、出版社に一言。
私、この本に収録されている作品のうち、2作品、すでに文庫で持ってるんですよね…。表題作は書き下ろしですが、そのために購入するにはコストパフォーマンス的にどうだろう。
面白いだけに、ちょっと残念。






