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![]() | かなしみの場所 (2004/06) 大島 真寿美 商品詳細を見る |
誰かが、誰かに会いに来る。誰かが、誰かに会いたいと思う。それってなんなんでしょうね―。離婚して実家にもどり、雑貨をつくりながら静かな生活をおくる果那。夫と別れるきっかけとなったある出来事のせいで、自分の家では眠れないのに、なぜか雑貨の卸し先「梅屋」の奥の小部屋では熟睡することができる。梅屋で働くみなみちゃん、どこか浮世離れした両親、賑やかな親戚、そしてずっと昔、私を誘拐したらしい「天使のおじさん」―。(「BOOK」データベースより)
冒頭で「大人の話」と書いたけど、「子供が大人になっちゃった話」かもしれない。
子供のときに起きたある事件のせいで、内面に抱えていた小さなしこり。それがだんだんとほどけていく話。
結婚したけど上手く夫婦関係が築けなかった女性の、ぼんやりとした悲しみが、非常にいい味出している。
大島さんの話は、激しくないんだけど、人をひきつける力がある。
この傾向のをもうひとつ読みたいんだけど、書いてるのかな? もう少し若い人が対象の話ばかりかな?
(79点)
![]() | ふじこさん (2007/06/21) 大島 真寿美 商品詳細を見る |
離婚寸前の父と母にはさまれ、何も楽しいことのない毎日を送るリサの前に現れたふじこさんは、乱暴できれいで、あっけらかんとしていて、今まで見たことのない、へんな大人だった…。幻のデビュー作を含む、著者会心の短編集。 (BK1内容紹介より)
この本は装丁が気に入りました。
表紙をめくってすぐのページ、薄い紙に水色とピンクできらきら光る感じの印刷されてるのを見たとき、「あ!」って思った。「この本読みたい!」って。
内容もそれに見合ったきらきらした話で、よどんだ生活を送っているリサが、ふじこさんという型破りな大人と出会うことで「きらきら」を手に入れるお話。
こういう、「生きているのが大変」「楽しい事なんてない」「結局大事なことは大人が勝手に決める」という風な女の子の話、読むたびにしんどくなるなあ。(不思議とこういう男の子の話は少ない気がする)「そのうち、絶対、ぐいーんといい事がある」っていうふじこさんのセリフが、力強くて素敵でした。
(78点。表題作に比べると、併録の二作は小粒な感じ)
![]() | 水の繭 (角川文庫) (2005/12) 大島 真寿美 商品詳細を見る |
去年の夏、父が死んだ。今年も夏がやってくる。もう、家族はいないのだと思い知らされる夏。孤独感にさいなまれて、死体のような日々を送っていたとうこのもとに、いとこの瑠璃がやってきた・・・。
「人は、一人では生きていけない」なんて使い古された言葉ではあるけれど、まさにそのとおりな話。
広い家で、一人きりで、生活にも困ってなくて、これという打ち込むものもなくて、やらなきゃならないものもなくて・・・。それは、ぞっとするほどの孤独。
瑠璃という、ちょっとやんちゃな、成績はよくないけど頭のいい女の子がやってきて、とうこは息を吹き返す。そして出会う、喫茶店の主人夫婦たち。人との交流を通して、再生する少女の物語。
よくあるパターンの話ではあるのだけど、それを越えた部分がこの中には確かにあって、なんというのか・・・純粋な感じ、透明な感じ、しなやかな感じがする。それでいてきれいすぎない、「生きていく」感じがする。
上手くいえないのがもどかしい。
あらすじだけで読んだ気になるとちょっともったいないよ? って本です。
(73点)
あ、これデビュー作ですか。あまり意識してませんでした。
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宙(ソラ)の家 価格:¥ 1,223(税込) 発売日:1992-11 |
雛子はマンションの11階にすんでいる。ある雪の日、学校が短縮になってうちに帰ってくると、おばあちゃんが運針の練習をしていた。毎日毎日、女学生だったころに戻って運針をするおばあちゃん。母親はおばあちゃんを病院に連れて行くが・・・。
雛子が最初、すごく無気力で。早くうちに帰れたらとにかく寝たいらしい。何か学校で疲れるようなことあるの? と思ったらテーマはむしろ家庭の方。
マイペースな娘、単身赴任中の父、自己の世界を持ち始めた息子、老いた祖母。こんな家族に囲まれたらお母さん大変だろうなあ、と思ったら案の定、きりきりカリカリしているけど、家族誰のも理解してもらえない。女の子って言うのは人生のどこかで自分の母親を「この人も私と同じで一人の女性なんだ」って思うものなんだけど、どうやらまだそこまでは達してない様子。だからか、母親を支えようとか、そこまで配慮のできない娘。決して好印象のお母さんじゃなかったんだけど、ちょっと同情しながら読みました。
後半は続編『空気』。
夏休みになって、毎日学校に行かなくていいと思った途端緊張が解けて、家にこもるようになった雛子。友人の兄で引きこもりな波貴と出会うことで、二人に小さな変化がやってくる。
これ、今から15年前の作品なんですが、当時の女の子たちって、皆こんなに緊張して学校生活送っていたんでしょうか。学校に行ったり友達づきあいをしたりってそんなに大変なんでしょうか。緊張が解けると眠りたいですか。大島さんの作品って割とそういう女の子多い気がする。(まだ4作目だけど)
その辺が共感できないと、面白く読めない話だと思います。ハイ。
(70点)
料理には詳しくないんで、「甘い豆腐って言ったら杏仁豆腐」しか思いつきませんでした。中国料理って奥が深い。
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香港の甘い豆腐 価格:¥ 1,575(税込) 発売日:2004-10 |
高校に行かずだらだら過ごしていた私は、その生活をなんとなく「父親がいない」せいだと思っていた。ところがそれが母にばれた途端、「父親に会いに行こう」と突然香港にいくことに。香港でであった人たちにひかれた私は、そのままひと夏を香港で過ごすことになる。異国での体験を経て、女の子が元気を取り戻す話。
まず、この無気力っぽい少女の設定に拍手。「友達から離れてみたら気分がすっとした。いちいち友達の顔色うかがわなくても言いし、余計な気を回さなくてもいいし、なにしろラク」・・・疲れてるんだなあ。なんというか、自己主張しないよう(出る釘になりたくないから)、周りから浮かないように必死に気を使っていて、突然気力が尽きちゃった、見たいな感じ。
そしてまたこのお母さんがかっとんでる。「どうせ父親がいないから?」という子供に反応して、外国だって言うのにまず会いに行くんだよ? 「お前の父親は・・・」とか説明も何もなしで。「行くから」と言ったときにはもうチケット取ってるんだよ? そのくせ父親との面会は人任せだし、よくわからないけど自分のルールに従ってる人。
で、対する香港の人たち。広東語の言葉としての勢いみたいなものもあるんだろうけど、言いたい事ははっきり言う、断られても気にしない、自分のことは自分で決める、といったきっぱりした感じ。日本人にはこの部分は足りないわ・・・。でも、放置しているんじゃなくて、ちょっとはなれたところから見守っている感じ? 「心配している」と言うことが負担になるかもと考えて、口に出さないでいる。無関心ではない。
もうね、香港に決めた時点で作者の勝ち。混沌としていて、自己主張が激しくて、エネルギッシュな街。その中に放り出されたら何もしないでうずくまってるわけには行かないでしょう。
最後に。おばあちゃんがいいんだよね、この話。かっとんだ娘を「もうあの子は何考えてるかわからなくてどうしようもない」と突き放しつつ見守ってる視線、孫を「あんな母親を持って災難だけど、ちゃんと元気でいるんだよ、連絡しなさいよ」とこっちは直接的に告げるバランス。心配はするけど過保護ではない。とぼけているようでしっかりしてる。彼女がいなかったらこの話は全然違う読後感だったんじゃないかな。そういう配置はさすがです。
(77点。もう一息、いい意味で裏切られたい感じがのこる)
あ、タイトルの「甘い豆腐」は「豆腐花(タウフファ)」というスイーツみたいです。









