乱読にもほどがあるッ!
趣味? 読書です。毎日欠かさず本を読む、グータラ主婦の読書記録。
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辻村さんはミステリ要素がなくてもいいなあ。

光待つ場所へ光待つ場所へ
(2010/06/24)
辻村 深月

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いわゆるスピンオフ作品なんですが、元の話を読んでなくても楽しめると思います。ただ、これを読んでから元作品を読むと楽しみが半減かな…。
私の大好きな「僕のメジャースプーン」と「スロウハイツの神様」の人たちもでてきます。

収録されているのは3作品、
「光待つ場所へ」(画家を目指している女の子)
「チハラトーコの物語」(嘘を撒き散らしながら生きているモデルの子)
「樹氷の街」(クラス対抗合唱コンクールで伴奏を申し出た女の子、才能以外の動機の話)。

画家だったりピアノだったりしますが、どれも「神様から贈り物をもらった人たち」と「その周りで彼らほどの才能がないと気付きつつもがく人たち」の話になってます。

きらきらしてちくちく刺さる話。作中の人物が泣くときの涙の苦さも熱も、身に迫ります。
どうして辻村氏はこういう、胸が痛くなる話を書くのが上手いのでしょう。

(大好き! でも辻村初心者にはお勧め出来ないので85点)
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あああ。年明け早々面白い本にばかりめぐり合えて、もう今年の読書運は使い切ってるんじゃないかしら。

ふちなしのかがみふちなしのかがみ
(2009/07/01)
辻村 深月

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ひややかな恐怖が胸に迫る―青春ミステリの気鋭が初めて封印を破った現代の怪談!おまじないや占い、だれもが知っていた「花子さん」。夢中で話した「学校の七不思議」、おそるおそる試した「コックリさん」。やくそくをやぶったひとは、だぁれ?その向こう側は、決して覗いてはいけない―。 (「BOOK」データベースより)


ホラー短編集。「おとうさん、したいがあるよ」だけちょっと不条理ものですが、後はかなり正統派ホラー。

中でも面白かったのが表題作の「ふちなしのかがみ」。
鏡の中に運命の人が現れる、というおまじないのとりこになった主人公がだんだん心を病んでいく話。
鏡の中に見える「将来の」自分。その自分の姿に毎日毎日見入っていく主人公。その主人公の周りに見え隠れする少女の幻影。怖い! ラストでいろいろひっくり返される快感も、この作品が一番かな。

そしてラストの「八月の天変地異」は読後感のいい青春小説なのです。本の構成も上手いなあ。

(85点)



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何で年明け早々こんな暗い話を読んでいるのか。いや、面白いのだけれど。

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。
(2009/09/15)
辻村 深月

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“30歳”という岐路の年齢に立つ、かつて幼馴染だった二人の女性。都会でフリーライターとして活躍しながら幸せな結婚生活をも手に入れたみずほと、地元企業で契約社員として勤め、両親と暮らす未婚のOLチエミ。少しずつ隔たってきた互いの人生が、重なることはもうないと思っていた。あの“殺人事件”が起こるまでは…。辻村深月が29歳の“いま”だからこそ描く、感動の長編書き下ろし作品。 (「BOOK」データベースより)


傑作です!

誰もいない家で腹部を刺されて死んでいた母。その現場から失踪した、娘・チエミ。チエミの幼馴染のみずほが、チエミを探して友人や知人たちのところを訪ね歩くといったストーリーです。
が。
筋書きもいいのだけれど、女たちの心理描写が秀逸です。
親元に住みながら、「娘代」だといって当たり前のように親にお金をかけてもらうことが当たり前の、人生の途中に「幸せな結婚」(それも20代のうちの)を描いているような、オンナノコたち。結婚して次のステージに進んだ女たち、進みそこねてあせる女。結婚を人生の目標におかない女性から見たら、あきれるほど幼稚な論理で進む話。
そしてその母。緩やかに娘を縛る母、愛情という名の束縛、しつけにごまかされた虐待。

世代の違う女たちの描写が、実にいい。

チエミの家庭が共依存といっていいほど仲がよすぎた家族だったからこそ起こってしまった悲劇。
いったい母親が死んだ事故の現場で何が起こったのか、何故、チエミは逃げ続けているのか。
その謎はストーリーの根幹に漂っているけれど、「読者をだます」ための謎ではない。もっとまっすぐ、物語と向き合った作品だ、と思いました。「太陽の坐る場所」の感想で以前書いたことが、当たった気持ち。ほおら、もっとまっすぐ書いたって面白いじゃないか。

作者がまだ若いからか、登場人物たちの考えに青いところも見られるのだけど、そこがまたこの作品の魅力。
角田光代氏の「対岸の彼女」を連想しながら読みました。

(90点!)

この作品が直木賞をとっても驚かないな、と思いながら読んでいたら、本当に今朝候補に挙がってるのを発見した。今回の候補は読んでいる作家さんが多いので、結果が楽しみです。



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冷たい校舎の番外編、と言う位置づけなのですが。

ロードムービーロードムービー
(2008/10/24)
辻村 深月

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親友のワタルが転校してしまう。家業の失敗で、借金を抱えてしまったために。トシは、何もしてくれない親への抗議をこめて、ワタルと二人で家出をし、自分自身の身代金を要求しようとするが・・・。(表題作より) 全三編の短編集。

表題作が一番良かった。
特に、ワタルと仲良くすることで、トシがいじめにあうことになったくだりはリアル。そうそう、こういう些細なボタンの掛け違いでいじめって始まるんだった、と思い出させてくれました。
そして、いじめに屈せず、前を向いて進むトシと、胸を張って友達でい続けたワタルの心境が気高い。
ラストの児童会長選に向けての盛り上がりもいい。
純粋だからこそもてる、強さ。
いいお話でした。
確かにこの話にも冷たい校舎のキャラクターはでてきますが、ストーリー的には知らなくても影響ありません。

そのほか、
中学生向けの塾講師のアルバイトをしている「僕」が頭のいいがゆえに問題行動を起こすことのある少女千晶に振り回される「道の先」(この主人公は冷たい校舎の登場人物の一人だということがラストで明かされるので、読んでない人にはエピローグが解りにくいかも)、冬景色の中椿の濃い緑と赤の色彩が鮮やかな「雪の降る道」(こっちは彼らの子供の頃の話)。

どれも面白く読めました。

(82点)



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大好きな作家さんの一人です。それだけに、もったいない、という意識が先に来ました。
今回ネタばれ気味です。一応、決定的なことは書いてません。

太陽の坐る場所太陽の坐る場所
(2008/12)
辻村 深月

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高校卒業から10年。クラス会に集まった男女の話題は、女優になったクラスメートの「キョウコ」。彼女を次のクラス会へ呼び出そうともくろむが、「キョウコ」と向かい合うことで思い出される、高校時代の「幼く、罪深かった」出来事―。よみがえる「教室の悪意」。28歳、大人になってしまった男女の想いを描き、深い共感を呼び起こす傑作ミステリー。 (「BOOK」データベースより)

ストーリーの骨格は、「冷たい校舎」と似通っているんじゃないかと思うのです。終盤で、こういう叙述トリックがあったんだよ、という種明かしをするために、こつこつストーリーを積み上げていく部分なんかが。

私はそれがもったいない、と思う。

高校を卒業してから10年。成功したものも、結婚して子育てに忙しいものも、夢をあきらめきれずにあがくものもいる人生半ばの世代になった友人たち。間違いなく一番成功していると認められているのは女優の「キョウコ」。クラス会に彼女を呼ぼうとするものの、いやおうなく思い出される高校時代の苦いあやまち。

心理描写が抜群です。
自分で選んで田舎に残ることに決めた人たちが、都会に出て行った人に抱く割り切れない嫉妬。それを押し隠そうとしているのに気付きながら、透けて見えることにうんざりする都会に暮らす人。
自分より才能にあふれている人を見るときの、元クラスメイトだからこその羨望。
意地悪を自覚しながら、「でもこのくらい許されるよね」というしたたかさ。友人のものだから手に入れたい男。本当は正社員じゃないのに、勤め先の有名企業の名前だけをあげるずるさ。
そしてだんだん明かされてくる、ゆがんだ友人関係。その中で、正々堂々自分を貫こうとする女性たち。小憎らしい女もいましたが、それだけ読んでいる側の感情に触れてくるというのは才能です。
怖いくらいに迫力があるし、説得力もある。秀逸です。

もっと、まっすぐ書けばいいのに。
普通に、叙述トリックなしの、群像としての青春劇として書いても、この作品はきっと成功したのに。

何故、ミステリという枠に押し込めなくてはならないのかが、私には解りません。

(88点)



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