乱読にもほどがあるッ!
趣味? 読書です。毎日欠かさず本を読む、グータラ主婦の読書記録。
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以前あちこちのブログで取り上げられていて気になっていた本が、ようやく文庫になったので即購入しました。

東京島 (新潮文庫)東京島 (新潮文庫)
(2010/04/24)
桐野 夏生

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清子は、暴風雨により、孤島に流れついた。夫との酔狂な世界一周クルーズの最中のこと。その後、日本の若者、謎めいた中国人が漂着する。三十一人、その全てが男だ。救出の見込みは依然なく、夫・隆も喪った。だが、たったひとりの女には違いない。求められ争われ、清子は女王の悦びに震える―。東京島と名づけられた小宇宙に産み落とされた、新たな創世紀。(「BOOK」データベースより)


無人島に31人。この面々が力を合わせて島を脱出する話、・・・ではないのである。
31人の中に、女性が一人だけ混じっていて、この島を半ば支配している、という設定なのだ。
しかもこの女、40代も半ばを超えた、いい年なのである。

温暖な島で凍える心配もなく、食物は自生しているもので賄え、野生の動物に襲われるおそれもない。安全な真水がふんだんに手に入る。こんな恵まれた環境で、堕落していくトウキョウ島の人たち。
うってかわって、香港から流れ着いた人たちはリーダーを決め、道具を手に入れ、脱出の策を練る。

そこに君臨する一人の女。

この女が実にこう、自分の欲望に忠実なのである。
人を騙し、利用し、踏みつけにして、とにかく自分だけ生き延びればいい、と考える。
いや、島民の誰もが、「まず自分が生きること」を最優先するのである。
面白い。
少しずつ精神を病んでいく登場人物の書き方も、面白い。

人の悪意を確かな筆力で書ききった良作です。
ラストはちょっと唐突な気もするけれど、こういうラストしかない気もする。

(82点)
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テーマ:本読みの記録 - ジャンル:本・雑誌

文庫でも出てるんですが、親本のほうの表紙が好きなのでこっちで。帯がなければもっといいんだけど。

I’m sorry,mama.I’m sorry,mama.
(2004/11)
桐野 夏生

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「星の子学園」の元保育士・美佐江と、元園児・稔は結婚20周年のお祝いに焼肉屋に行く。そこには元園児のアイ子が店員として働いていた。昔の学園のことを思い出したくない稔は、不機嫌を隠さずに美佐江に当たるが・・・。

最初の一ページだけで、やるな、と思った。
「太った美佐江が着ると網目が広がりすぎる」ニットスーツを店員におだて上げられて買ってしまう美佐江。「半分凍ったマグロをのせた握りが何回もまわってくる」のを思い浮かべて唾をためる美佐江。でも焼肉を楽しみにしている稔に、文句を言いつつ従う美佐江。
この断片だけで経済状況が推察できるし、夫婦の力関係も予想できる。ありがちだけど、妙にグロテスクな場面。
読み進めると、稔が美佐江より25歳年下で、夫婦というより親子に近い関係だと解る。長年一人で生きてきた女性が、愛情を注ぐ対象として子供と夫を同時に手に入れた、歪んだ関係。この夫婦を料理したって桐野夏生なら気持ち悪い(ほめ言葉です)1冊書けるだろう。

ところが、この本の主人公は、アイ子なのです。

置屋で娼婦の一人に産み捨てられ、戸籍も与えられず愛情も注がれないまま6歳まで育ったアイ子。事情があって親と一緒に暮らせない子供たちの保護施設、「星の子学園」に引き取られた後も、一番下「両親がどんな人物かわからない」階級で虐げられて育ち、成長してからも犯罪に対する忌避感を持たずに生活している、底冷えのする人生観。
この、なんともいえずぞくぞくする感じ、グロテスクでいながら目を離せない感じがさすが桐野夏生。
文庫版の帯、「私のママは白い靴」って言うのが、象徴的です。

ひどい女だと思うのだけど、ここまで書いてくれれば文句なし。

(76点。ああ気持ち悪かった。<ほめてます)



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テーマ:今日の一冊 - ジャンル:本・雑誌

タイトルが怖くて読まずにいたんですが、読んでみたら痛いのは肉体ではありませんでした。

残虐記 (新潮文庫 き 21-5)残虐記 (新潮文庫 き 21-5)
(2007/07)
桐野 夏生

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女流作家が、手記を残して失踪した。そこには、10歳の頃、男に一年間監禁されたときのことが生々しく書かれていて・・。

まず、この構成が上手い。失踪した作家の夫が、残された手記を編集者に送る手紙からはじまる。その後すぐに、作中作という形式で、手記が始まる。
そして手記の内容が、適度にリアルで恐ろしい。食事のこと、排泄のこと、下品になる寸前で抑えられた描写。
10歳の少女を監禁、と聞くとどうしても性的暴力を考えてしまうのだけど、そういうことはなかった(少なくとも直接的には)と少女は語る。それでも彼女に与えられたのは、紛れもない暴力と屈辱。
そして、救出されてからも、彼女の苦悩は続く。世間の人たちの好奇心と下世話な想像力にさらされて、彼女は普通の女の子とは違う生き物に変わってゆく。
しかし。
これはあくまで、「作家の手記」。つまり、どこまでが本当で、どこからはそうじゃないのかは、読者の想像に任せられる。これ、考えながら読むと、怖さ倍増。

肉体よりも、精神がさらされる暴力の方が、痛い。

(70点。読む人を選ぶ話、だな・・・)



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テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

昨日の「対岸の彼女」があきらめずに踏ん張る女性たちの話だとしたら、これは対極的に、悪いほうへ突き進む女性たちの話。

グロテスク〈上〉 (文春文庫)グロテスク〈上〉 (文春文庫)
(2006/09)
桐野 夏生

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ありえないほどの美貌の女、ユリコ。ユリコの姉の同級生で、大企業のOL、和恵。二人は、娼婦として街に立ち、中国人の男に殺された。ユリコや和恵の日記を交えつつ、ユリコの姉が、ユリコや和恵が女学生だった頃からを振り返りながら語る。

冒頭で、ユリコと和恵が殺されたことはすでに語られている。何故殺されたのか、何故彼女たちは娼婦になったのか、そこを突き詰める話・・・のようで、そうじゃないんだな、これが。
そもそも語り手のユリコの姉がうさんくさい。誰かに語りかける形式なんだけど、語る言葉の端々にゆがみが見て取れる。「私はハーフで、ほんの少し東洋人よりだから、少しだけバタ臭くてそれが愛嬌があるようだ」と自分を持ち上げ、「ユリコはすさまじい美貌を持って生まれてしまって、男がいないと生きていけない中身のない女だった」とこき下ろし、それでいて血筋にはこだわり続ける。「私は外国人の血が流れているから」と二言目には言い続ける、客観性のない肥大した自尊心。読んでいてくらくらするような、悪意。
ユリコは突き抜けているようなのだけど、姉と和恵は「周りにどう見られるか」「どう思われてるか」に執着し続ける。「私はこんなにきれい」「私はこんなに有能」「私はこんなにいろんな顔を持っている」繰り返される自己満足と、繰り返しても繰り返しても得られない満足感。
まさにタイトルどおり。女って怖い。
何せ長くて暗くて重いんで、途中で中だるみする部分も否めない。
根性がないと、読み通せない本。

(78点。ラストの着地地点には驚かされた)




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