![]() | 陽だまりの迷宮 (ハルキ文庫) (2004/05) 青井 夏海 商品詳細を見る |
きょうだい11人の大家族の末っ子として育った生夫は、病気がちでよく学校を休む子供だった。そんな生夫の周りに現れるささやかな謎。困った時は下宿人のヨモギさんに相談すると、何でもきれいに解決してくれて・・・。
両親が亡くなって一年、法事代わりに公園で亡き父母を偲ぼうという集まりで、十年以上前の子供時代の事を主人公が語る、という形式でスタートします。
メインの謎は、「消えた鉄道模型」、「無言電話」、「おかれていた絵本」など、子供目線で書かれる優しい謎ばかり。ヨモギさんの推理の過程も、鮮やかでいて子供に解るように噛み砕かれていて、明快です。
ところが、この本文中に大きなひっかけがあって、ラストのエピローグで種明かしがなされます。私はぜんぜん気付きませんでした。子供の記憶力ってあてにならないものだなあ・・・。
ヨモギさん、登場場面は少ないのですが、印象的で素敵です。
(80点)
![]() | 赤ちゃんをさがせ (創元推理文庫) (2003/01) 青井 夏海 商品詳細を見る |
主人公の陽奈は、先輩の聡子の助手として、自宅出産専門の出張助産婦をやっている。三人の妊婦がいる家での本妻探し、女子高生の出産騒動など、なぜかおかしな家庭が多い。それらの謎にぶち当たるたび、陽奈が頼るのは「伝説のカリスマ助産婦」明楽先生! 助産婦たちも、頑張ってるんです!
※現在は「助産師」といいますが、この本が執筆された当時は「助産婦」だったので、その表記でいきます※
まず、この設定が素晴らしい!
だって、正直に言えば「助産婦」なんてマイナーな職業でしょ? それを取り上げることによって、お産に関するミステリが書けるなんてすごい。
母親探しなんて・・・こんな書き方があったのか! って感じ。
「日常の謎」系のミステリ(に、なるんだろうな・・・お産は日常じゃないけど・・・)で、読後感はさわやかで、ちょっとおっちょこちょいの陽奈がかわいくて。ほのぼのとした良品です。
私が出張助産婦なる職業を知ったのは、この本が初めてでした。
多分、本当に医療に携わっている方が読んだら、「こんな甘い世界じゃないよ」って思うかもしれない。基本はお産についてのあれこれじゃなくて、妊婦さんにかかわる謎だし。
でもね、この本に出てくる助産婦さん3人は、本当にお産が好きで、命を生み出す仕事が好きで、この仕事をやっている。そういう気持ちが伝わってくる本です。
「助産婦は妊婦さんの味方です!」
こんな台詞が、自然に出てくる本。
助産婦さんって素敵。
もっと、いろんな人に読んでもらいたいな。
ちょっと出版社がマイナーなだけに、実際の妊婦さんの近くには届いてない気がして、残念です。
三人子供を育ててる身としては、保育園問題って人事じゃないのです。
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星降る楽園でおやすみ 価格:¥ 1,575(税込) 発売日:2006-08 |
無認可保育園「アイリス」に二人組みの男が5人の園児を人質に立てこもった。身代金は一人500万円。園長の早紀とその姪の淑恵も監禁され、何とか外部に助けを求めようとするが・・・。
ひとことで言うと、「フーダニット」の話。ひねってあるのは、誰が犯人か、ではなく、誰が共犯者か、というところ。
まず、500万という金額が上手い。にっちもさっちも行かない金額ではなく、警察に通報するより払おうと考えられるぎりぎりの金額。(ただし、作中にも出てくるけど、夕方6時から深夜12時までの間に用意するのは難しいと思うが)
次に、園児5人の家庭環境の設定がいい。実際にこんな家庭ありそう。それでいて似通っていないし、それぞれの問題点もばらばら。事件への対応もばらばら。面白い。何はさておき子供の命を優先するか、交渉するか、ひとに委ねるか、自分ならどうするか考えながら読んだ。
そして、保育士たち。共犯者なしでは成り立たない犯罪。同じ職場に勤めていても一枚岩ってないのはまあ当たり前にしても、ミスリードさせるべく書き込まれている保育士達の事情がよくできてる。誰も彼もが怪しく見えるようにかかれてて、早紀が疑心暗鬼になるのもわかる。それでもって、疑いつつ行動するから他のひとの疑いを呼ぶっていう悪循環。よく組み立てた。「組み立てた」ってのは我ながらいい表現かも。それぞれのパーツが上手くはまって回ってる感じ。個性をみっしり書き込んであるわけじゃないけど、混乱するほど稚拙でもないし。
そうですね、全体的な評価は「重くないミステリ」。結構好きなタイプの話でした。最後の方の冷静なお父さんの話はぞっとしたけど。
(78点。難を言えばタイトルなんとかならないか)

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