![]() | 百万の手 (創元推理文庫) (2006/06/10) 畠中 恵 商品詳細を見る |
だんだん死んだ父に似てきた主人公夏貴。彼に恋人めいた行動をする母、そのせいで過呼吸になる夏貴に、水をかけても消えない火事で死亡した親友が携帯電話から語りかけてくる。その親友によく似た少女。病院の医師の不審な行動。急に再婚相手を連れてくる母。夏貴の家も火事で燃える。放火? なぜ?
と、魅力的な謎てんこ盛りで、一気に読めるんですが・・・。
正直、物足りない。坂木さんも解説で書いているように、「どの部分を膨らませても違う話が一本かけそうなほどのエピソードに満ちた本作」。ここ、もうちょっと読みたい、と思うところが一杯。でもそうしたらストーリーのテンポが悪くなるのかな。
5年前にこの本読んだら「面白い!」だったと思う。本をたくさん読むってことはそれだけすれていくってことね・・・。
主人公の母の再婚相手、東さんは素敵でした。
青空の卵に続くシリーズ2作目。
![]() | 仔羊の巣 (創元推理文庫) (2006/06/17) 坂木 司 商品詳細を見る |
坂木は同僚から、同期の女性の様子が最近おかしい、と相談を受ける。おりしも鳥井は風邪でダウン中だったため、自力で探偵役をつとめるが、さて結果は・・・?
有栖川氏が解説を書いてるのを目次で確認して、ちょっとお得感を得つつ購入。
でも。でも、有栖川氏は「僕は鳥井を好きになれない」「もし最初から彼の行く末を温かく見守っているという方がいたら失礼。別の読み方があるというしかない」とおっしゃって。
え! ええぇぇー!!
私は、わりかし最初から鳥井くん、いい子だなあと思って読んでたよ。一話目は確かに「何だこいつ」だったけど、一冊終わる頃には、もう。
別の読み方をしてるってことですか・・・(がっくり)
何でだろう。私に引きこもりと似た経験があるから? 特に外出したいと思わない、気を許している同居人が帰宅するのは嬉しいけど他に友人を増やそうって意欲はあんまりない、生活のために買い物には出掛けるけど近所の人と立ち話とかは・・・したくない、人ごみに出掛けるのは嫌。これってやっぱり引きこもり?
実を言うとこれ、妊娠・出産・育児初心者の頃の私でして。マタニティーブルーとかもあったのかも。今はもう少しまっとうな生活をしてる(つもり)ですが、仕事が休みの日なんかは一日外出しないこともあるなあ、まだ。
で、旦那はやっぱりそんな私と暮らしてて、苦労したと思うんですよ。感謝。
ちょっと話がずれましたが、私にとって引きこもりは理解しにくいハンデではないってこと。鳥井くんは、自分のそういう部分も自覚していて、でも自活できるよう職業(在宅のプログラマー)を選んだし、料理もちゃんとつくるし、自分を管理できるってこと。人付き合いがだめ、ってとこを除けば、鳥井くんはいい子だと思うな。それが大事だろ! とお叱りを受けるかもしれないけど。
あと、私は年配の方を魅力的に書いている小説に弱い。昨日書いたとおり。だから私にとっての肝は栄三郎さん。彼が出てこないようなお話なら、つまらなかったかもしれない。
面白かった! 書評、というより気ままな読書感想といった感じのブログなんだけど、確かにその本読んでない人には「?」みたいな文章もあるんだけど、面白かったです。文章がうまいわけではないところがまた、いい。(ほめてるんです)自由っぽくて。僕はこう思うんだけど・・・みたいな、ちょっとためがある感じが。
残念ながら、ペンギン店長さん、文庫はほとんど読まないらしいので、文庫を中心に読んでいる私とは読書傾向がびみょーに違うんだけど。ハードカバーはそんなに買えません、私。財布の中身と家のスペースがそれを許さないんで。気になる新刊は図書館でチェックしつつ、文庫になるのを待っている、小心者。
で、そこでおすすめだった作家さんの本を読んでみた。
![]() | ホームタウン (2005/08) 小路 幸也 商品詳細を見る |
主人公の柾人が、急にいなくなった妹の木実を捜していくと、彼女の婚約者も失踪していることがわかる。手がかりを求めて二度とかえりたくなかった街に戻り、昔の知人に会い、疎ましく思っていた自分の過去を知ってても協力してくれる人達に会って・・・。
道内在住の作家さん? 知らなかった・・・。が、最初の感想。読む前の。
「デパートの探偵? こんな仕事あるの?」と思いながら読んだ。そのうちそんなことどうでもよくなった。主人公の上司のカクさんが、いい。自分の芯をしっかり持っているお年寄りって素敵。もちろんばあちゃんの包容力もいい。ラスト直前のばあちゃんの台詞がじんわりきた。
人間っていいな、と思った。間違っても、許しあえるっていいな、と思った。いろんな葛藤も、苦しさも、飲み込んで笑えるようになりたい、と思った。
すぐさま「キサトア」予約しました。楽しみ。
![]() | クロス・ゲーム (2004/07/21) 中野 順一 商品詳細を見る |
どういったらいいんだろう。この本は、ストーリーが目新しいわけでも、キャラクターが面白いわけでもない。チャットとか、オンラインゲームとか、闇金融とか、小道具は確かに面白いんだけど、それもまあ何年かしたら特に目新しいものでもなくなるだろうし。(もうなってる?)
でも夢中になって読んだ。2時間かからなかったと思う。もともと読むのは早い方だと自負しているけど、トイレも我慢して読むことはあんまりない。
休日に同じ部屋にいながらお互いにオンラインゲームをして、必要なときはチャットで会話するカップルっていう箇所を読んだとき、「あるかも」と思っちゃったのがきっかけ、かな。「それのどこが変なの?」って言う人だっているかも。
たかが仮想現実の中の出来事、と思えない人ってきっと一杯いるよね。
でもやっぱり、現実って大事だよ。人間には体温を伝え合う距離にいる相手ってのが必要なんだって言ったのは誰だっけ?
私にはそういう本でした。面白かったけど、この系統の本を続けて読んだら苦しくなるな、て感じ。
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今、この記事を読んで、書き直したくてたまらない。けど、多分今の私にこの文章はかけまいと思い、このままにしておくことにする。
ただし! ここまで持ち上げるほど面白い本だとは思えなくなった、とだけは追記。
(2007.10.4)
![]() | 46番目の密室 (講談社文庫) (1995/03) 有栖川 有栖 商品詳細を見る |
「密室? ああ、あの、針と糸を使ってなんかするヤツでしょ?」 とか言う声はやっぱり今でも聞くし、そもそもミステリと聞いて「人が変な死に方をして名探偵が犯人を見つけるヤツ」 とかいう言い方をする人もいたりする。でも確かにそれだけの本も、まあ、年に一冊か二冊は読みますね。で、がっかりする。
この本も、あらすじでまとめちゃうと、それだけの話。
でも、それだけじゃない、プラスアルファの部分が読みたくて、私は有栖川氏の本を読む。乱暴な言い方かもしれないけど、有栖川氏の(シリーズの)登場人物はおおむね心を病んでいる。ひっそりと。火村助教授が犯罪を研究する理由も、江神先輩が大学生でいることにこだわる理由も、アリスが小説を書く理由も、突き詰めればそういうこと。
それが、淋しくて愛しい。
この本は火村・アリスシリーズ第一作で、有栖川氏いわく「火村の探偵像は大急ぎでざっと素描したもの」らしい。でもその段階ですでに「重要な部分は出揃っている」と、私も思う。
新刊が出るたびに、火村助教授が悲しい思いをしてないといいな、と思いながら読む。女子学生が手の届かない憧れの人を見つめる姿勢に、似てるかもしれない。
ちなみに有栖川氏の言葉の引用は「有栖の乱読」メディアファクトリーより。
有栖川有栖氏の作品の紹介を、書こうと思いました。有栖川氏は私のオールタイムベストなのです。はっきりいって、彼に出会わなければこれほどミステリを読むようにはならなかったと思う。で、す、が、どれもこれも思い入れがあって、うまく文章に出来ない。んで、アンソロジーから。
この本は変。すごく。
阪神ファンの作家たちが、よってたかって阪神タイガースをねたにミステリーを書いてます。発行は2003年3月。かれこれ20年近く優勝できてないのに、帯に「今年こそ優勝や」とでかでかと書いて。
すごい。どうして阪神ファンって、勝てなくても勝てなくても、阪神は強いチームだって言い切れるんだろう。
そんな情熱に満ちた一冊です。北村薫氏が有栖川氏を作中に出しているのがくすりと笑えます。
![]() | 新本格猛虎会の冒険 (2003/03) 有栖川 有栖、逢坂 剛 他 商品詳細を見る |
![]() | 青空の卵 (創元推理文庫) 価格:¥ 780(税込) 発売日:2006-02-23 |
主人公は、坂木という、外資系保険会社に勤める青年。彼の友人の鳥井は、人間嫌いで引きこもりを続けている。鳥井の世界を広げようと、いろんな人を彼に会わせようと画策する坂木だが・・・。
この作者の本は初読。
そういえば何ヶ月か前にこのシリーズのレビューを読んだぞ? あの時はシリーズの最初のと出会えたら読もう、くらいの、軽い気持ちで読み飛ばしたような・・・。で、出会えたんで買いました。今まで読んでなかったのがちょっと損した気分になりました。
簡単に言うと、これも日常の謎系のお話。
鳥井くんは確かに自称引きこもりで、その気になれば何週間でも自室にこもってすごせるんだろうけど、一人暮らしで自炊もしているし、口は悪いけど面倒見はいいし、それほど特異な感じはしない。
ただ、大人になる前にみんなが通る、「まあいいか」「こんなもんでしょ」といった、妥協しつつ世間へ自分を合わせる方法を、上手く会得できなかった感じ。
それがかえって清潔感をかもし出していて、いいんだな。鳥井「くん」、坂木「くん」と呼びたくなる。
このシリーズは後2冊出ているらしいので、もうちょっと積極的に出会う努力をしてみようと思いました。
![]() | 螢坂 価格:¥ 1,680(税込) 発売日:2004-09-22 |
ビアバー「香菜里屋」のお客たちが持ち込む数々の謎を、マスターの工藤さんが解き明かすシリーズ。いわゆる「日常の謎」物です。殺人事件とか、血なまぐさいものは(基本的に)出てきません。
私がこのシリーズを最初に読んだのは、某短編傑作集に入っていた花の下にて春死なむ」でした。その後、同名の文庫を見つけて夢中になって読了。
このシリーズは、何といっても工藤さんの人物がいい。人のいい親父(ただし年齢不詳)風の容貌に反して、目の前の人物が何を求めているか見抜く観察眼、押し付けがましくなく、でも相手の心を開く話術、そして抜群の料理の腕。北森氏の作品はどれを読んでもおなかがすくのだけど、中でもコレはもうもう・・・。(つまり抜群においしそうな料理が出てくるのです、毎回)
1作目の、最初と最後の話がリンクして長編を読んだような気分になれる仕掛けは、残念ながらこれにはないのだけど、その分工藤さんの過去が覗き見られる場面があったりして、おいしい本になってます。
う〜わ〜アレもコレも本棚にある!! 貸し出し中じゃない!! しかもこれ絶版で読むのあきらめてたヤツじゃん! 本棚ごと持って帰りた〜いぃ〜。
4年前まで通っていた時とは明らかに品揃えが違って、いい感じでした。連休ということもあって、人の入りもまずまずで、うらやましい限り。地元の図書館にも頑張って欲しいものです。
それはさておき、
![]() | 時計を忘れて森へいこう (創元推理文庫) 価格:¥ 780(税込) 発売日:2006-06-27 |
主人公の女子高生翠さんが、環境保護団体「シーク」の管理する森で、自然を愛する人々と出会い、いろんな体験をする。
と、要約してしまえばそれだけの話なんですが、なんと言っても描写がいい。空の青さ、陽にすける碧、雪の冷たさと優しさ、そこに生きる人達の温かさ。
私は田舎育ちなので、森の中の突き放すような闇も、雪の冷たさと恐ろしさも、雪を割ってうまれてくる緑の健気さも、実感として覚えているけれど、それを知らずに大人になることは寂しいことだなあ、と久しぶりに思った。
扱われている事件は、人の生き死にに関係していたり、必ずしも明るい話ではないのだけど、それでも読み終わった後に、森林浴を終えたときのような温かい気持ちになる。
ゼヒ続編を。といいたいところだけど、何といっても寡作な作者なので・・・。
なんか疲れたなー、元気でないなー、と思ったら手に取る本です。
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スキップ (新潮文庫) 北村 薫 (1999/06) 新潮社 この商品の詳細を見る |
高校生の真理子は、大雨で運動会の後半が中止になり、家でうたた寝をした。目覚めてみると、25年の月日が流れ去り、42歳の体になっていた。記憶にはないが、これまできちんと生活していたらしく、夫も、娘もいる。一体どうなってしまったのか・・・。
本格ミステリの旗手として名高い北村氏ですが、私が一番好きなのはこの本。
25年後の自分の体に、ポン、と投げ込まれてしまった主人公が、それでもうつむかずに、顔を上げて、しっかり自分を生きていく。やわらかい精神を失わずに、懸命に、でも悲壮感はなく。
第9章は何度読んでも鳥肌が立つし、涙ぐみさえする。
読むたび、私もまだ頑張れるぞ、そんな気分にさせてくれる本。














