乱読にもほどがあるッ!
趣味? 読書です。毎日欠かさず本を読む、グータラ主婦の読書記録。
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これはミステリなんでしょうか。この前作「ささら さや」はミステリなんだけど。カテゴリわけって難しい。

てるてるあした てるてるあした
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2005-05

加納朋子 幻冬舎

高校進学直前、親が作った借金のせいで夜逃げすることになり、遠い親戚を頼って佐々良市にやってきた照代。無事住むところは手に入れたものの、居候先のおばあちゃんからは「さっさと一人立ちしろ」と口うるさく言われ、肩身の狭い思いをすることに。その上、正体不明のメールが届いたり、幽霊が見えたりと大変なことばかり。実は幽霊の正体は…。

これは、照代のキャラクター造形が上手い。どこにでもいる、普通の、世間知らずでちょっと自己中心的な女の子。世間知らずというのもちょっと違うかも。普通に中学生生活していれば、暮らすのにどのくらい物入りで、そのためにはどのくらい収入がないと駄目だとか、年を取って老人の域に達すると、生活上どのくらい変化するのかとか、知らなくてもぜんぜん問題ないもんね。親掛かりで生活していたら、急に「夜逃げするよ」とか言われたって、そんなの私のせいじゃない!としか反応できなくても当然。

でも、そこで終わらないのがいいところ。短期でも何でも、働くことを覚えて、進路を決めて、勉強して、色々あきらめるところは割り切って、進んでいく。

人によっては、ご都合主義とか、甘いとか、いわれかねない展開だとも思うんだけど、私は好きです。

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ちょっと間が空いちゃいましたが続きました。

街の灯 街の灯
価格:¥ 500(税込)
発売日:2006-05

北村薫 文春文庫

舞台は昭和7年。士族出身の上流家庭の令嬢・花村英子が主人公。彼女を女学校に送り迎えする為に、女性運転手別宮みつ子が勤め始める。ところがこの別宮さん、近代風の美人で、武道の腕も立ち、博識で、語学にも優れている、らしい。(はっきりそう書いていないところもある)

となれば、「今日、学院でこんなことがあったの。不思議よね」「それはこういうことなのではありませんか?」という展開になるのが王道ですが、そこはさすが北村薫、一筋縄では行かない。このシリーズ、探偵役は主人公の英子自身。

この主人公が悪いわけではない。はきはきとして、年齢の割に聡明で、頭の回転も速く、多少世間知らずなところはあるが(この時代、女学院に通っている生徒が世間知に長けているわけがない。彼女は開放的な家風もあって、ましな方)、それでも知的好奇心にあふれ、行動力もある。

でも、先日書いた「条件」からは微妙に外れるんです。なぜか。ううん、「謎が一見謎ではない」から、かな。

新聞記事に載ってた二つの事件の関係は? とか、なぜ彼女は映画の上映中に死亡したのか? とかは、主人公が不思議に思って色々考えたからこそ「謎」として立ち上がってくるわけで、別に放っておいても主人公には関係ない。でもそこで主人公は「物のとらえ方について」を学習していく。ミステリでもあるんだけど、少女の成長物語。

で、枠から外れてるからつまらないのか、というとそんなことはない。絶品、読むべし、とまでは言い切れないものの、十分佳品。面白い。

一つの枠で全てをはかれるほどミステリの奥は浅くない、ということで。

余談。このタイトル、チャップリンの映画から来てるんですけど、私は何度見ても日高晤郎の「街の灯り」を思い出す。北海道外の人は堺正章の方が有名かも。




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昨日つらつらと書いた「日常の謎」

考えてみると、私が最初に読んだ日常の謎のお話は、これ、なんですよね。

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
(1994/03)
北村 薫

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確か、これにやられてシリーズを続けて3冊買った覚えがあるんで、奥付から考えても、2000年前後の事だと思う。そのすぐあとに宮部みゆき氏の「地下街の雨」とか「返事はいらない」だとかも読んだけど。

で、2000年ごろならもうすでに、加納朋子氏も、若竹七海氏も、北森鴻氏も世に出てる訳で、もちろん彼らの作品も好きなんだけど、でも、私は最初に出会ったのが北村薫氏で、「幸せな出会い」をさせてもらったと思ってる。

このシリーズ、ミステリなんだけど、その前に女子大生の「私」の私小説になっている。本好きで、恋愛にちょっと奥手で、落語が大好きで、着るものには執着がないけど本代を削るのは嫌で、そういうおとなしめの女の子が、落語家の円紫師匠に出会って、手品師が空中から鳩を出すように、円紫さんがちょっと不思議な出来事から人の善意や悪意やらを「こうかもしれませんね」と出してくれるのを見て、少しずつ大人になっていく、そんな話。

(自分で思ってるより熱くなってるぞ? なんだこの長文は)

これは、文章がいい。朝早く目覚めて、上機嫌で大学にいき、掲示板を見たらお目当ての講義が休講。そんな場面で、いきなりおしょうゆの話が出てきたりする。その、ちょっと外し加減が、いい。

あと、お化粧の場面。「父の心が本当にそれを許すまで、私は口紅を引かない。」この、かたくなで美しい心。でも、北村氏はさらっと、さりげなくかいちゃうんだよね。

そして、鮮やかな謎。雨の降りしきる暗い公園にたっている赤い雨合羽を着た少女。喫茶店で砂糖壺を前に悪巧みをする3人の女性。どれを読んでもその場面が浮かぶような、的確な描写がいい。

と、いうわけで、「面白いと思う日常の謎の条件」は、このシリーズの影響を強く強く受けてます。同じ北村氏のシリーズでも、「街の灯」なんかはちょっと微妙に外してる気がするんで、そっちについても書こうと思ったんだけど、長くなっちゃったんで、次回。

続く。




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「日常の謎」系ミステリーといえば、北村薫氏の「円紫さんシリーズ」を筆頭に、生活の中であれ?と思ったことを、観察力と洞察力に優れた探偵役が解決していくものです。私の大好きな形式です。

たとえば、「地方の新聞が定期的に庭に投げ込まれているのはなぜ?」とか、「まじめな女生徒がよりによって自分のおばが勤めている店で万引きをするのはどうして?」とか、「独居老人が自室で亡くなった枕元に、まだ時期が来てない桜の花が満開に咲いているのはなぜ?」とか、そういう話。ほとんどが短編で、連作ものも結構あります。

で、私がいい!と思う条件は以下のとおり。

 

1・主人公(語り手)に、生活感がある。

 生活感というか、実在感。「こんな人いるいる」と思えないと、すごく全体が嘘っぽくなっちゃう。「日常」の香りがして欲しい。どんな小説でもそうなんだろうけど、事件を説明する為の狂言回し、みたいなキャラクターより、個性がしっかりしてて、ちょっと失敗なんかもして、「人間」っぽいエピソードの一つもあると、ぐっと作品世界が身近になる。

 

2・探偵役に、個性がある。

 別に変人が良い、とかいう意味ではなくて。日常の謎系の探偵役って、「私立探偵」とか「警察官」とかじゃなくて、普通の、市井の人のほうが圧倒的に多いじゃないですか。で、語り手に比べると、私生活があまり出てこなかったりする。語り手と会ってる時しか作品中に出てこないんだから、当然といえば当然。で、その短い間に、キャラクターとして「立って」くれないと、これまた「謎解きマシーン」になってしまうでしょう。「集中するときはグラスを磨く」とか、「子供には甘々」とか、些細なことの積み重ねって大事。

 

3・つまり、「小説」としての部分を多く持っている。

 一言で言うと、「人間が描けている」ほうが断然面白いってこと。

 

4・謎が印象的である。

絵画的、といってもいい。「誰も触れることの出来なかったケーキにナイフを入れたら、中から指輪が出てきた」場面とか、想像すると楽しくないですか? 「観光に行って車に戻ってみると座席カバーがなくなってた」とか、「子供がタンポポの絵を真っ白に塗りつぶした」とか、まあ些細な謎といってもいいけど、その場面が浮かぶような、そんな謎が、いい。

 

5・文章が平易で、滑らかである。

漢語や難しい言い回しだらけだと読みにくくないですか? そういう文章が、「日常」を際立たせるのに役に立つとは思えないんです。

 

この文中に出てくる例には、全部元作品があります。全部わかった人、私より読書フリークですね?




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ハートブレイク・レストラン ハートブレイク・レストラン
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2005-11-19

松尾由実 光文社

フリーライターの真衣は、近所のファミレスで仕事をするのが日課。でもここ、普通のファミレスと違って、店員の雰囲気がなんだかうら寂しい。そんな折、常連のおばあちゃんと知り合いに。ところが、このおばあちゃん、実は幽霊で、しかも名探偵だったんです。

松尾由実はまたやったよ。この人の書くミステリは、ほんの少し、枠から外れてる。舞台が妊婦ばかりの街だったり、探偵役が安楽椅子だったり。えっ、と思うんだけど、ミステリの骨格はしっかりしてる。状況説明も、伏線も、キャラクター造形も、謎の不可解さも、文句なし。小品を品よく並べた「日常の謎」系短編連作集。話を重ねるごとに進展していく主人公の恋も無理がなくていい。

すごくピンポイントで、「うだつ」の話が好き。こんなこといってくれる男の人がいたら好きになるかも。




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