乱読にもほどがあるッ!
趣味? 読書です。毎日欠かさず本を読む、グータラ主婦の読書記録。
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コールドゲーム コールドゲーム
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発売日:2005-10

新潮文庫

中二のときの同級生が、次々と何物かに襲われた。どうやら犯人は当時のいじめられっこのトロ吉らしい。自分の身を守る為、トロ吉を探し始める主人公光也。しかし、探せば探すほど不穏な噂が聞こえてきて…。

実を言うと、読んだのは一週間近く前になるのです。しかし、「いじめっこ」と「いじめられっこ」についての昨年の報道についても記憶に新しく、自分の中にそれについて語ることがないな、と思いスルーしていたんですが。

読み終えて以来、毎日、怖い夢を見るのです。

何か得体の知れない怪物が追ってきたり、殺人現場を目撃したり。たまたまかもしれませんが、連日というのはちょっとただ事ではない。どうやら私の脳は「荻原浩」について過剰に反応するようです。

この小説は、怖いながらも切なく悲しく、読み応えのある作品です。ホラーではありません。

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チョコレートコスモス チョコレートコスモス
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発売日:2006-03-15

毎日新聞社

芸能人一家に育った為、意識する前から舞台に立っていた女優、響子。演劇経験はないものの、演じるということに天性の勘を持つ飛鳥。二人の女優は、伝説のプロデューサーが立ち上げる舞台の主役を選ぶオーディションで顔をあわせる。演出家・学生劇団員・脚本家など、舞台関係者達が見守るオーディションの行方は。

…あらすじだけ書くと「ガラスの仮面」みたいだわ。

「小説」と「演劇」の相性は極めていいらしく、多くの小説で演劇が描かれてきましたが、これはすごい。すごいとしかいえない自分が歯痒い。恩田陸氏と言えば、SFっぽい作品の方が有名なのだけど、これはそういう要素はまったくなし。真っ向勝負。

しかし、すごいのは舞台のうえでの緊張した空気の描き方。これは漫画では出来ない、イラスト付きでも駄目、頭の中でイメージしながら読む小説というジャンルに感謝。

恩田氏ってのは引き出しが多い作家さんなんですねえ。こういう脚本を作品中で使いたい、というイメージどおりのものを探し出してくる(あるいはもう知識としてあったのかもしれないけれど)技量にも感心しきり。

読み終えてすぐでちょっと上手くまとまらない…。これは書かねば!という衝動に駆られた久しぶりの本。絶品。

(しかし、演劇にまったく興味のない人が読んでも多分さほど面白くないでしょう)




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弥勒の月 弥勒の月
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2006-02-22

光文社 再読

小間物問屋「遠野屋」の若おかみおりんが川に飛び込み溺死。調べを行うことになった同心・信次郎は、手下の岡っ引伊佐治とともに遠野屋に向かうが、そこの主人清之介の立ち居振る舞いに違和感を覚える。どうやらこの男、根っからの町人ではないらしい。その後、おりんの飛込みを目撃した男も惨殺される。伊佐治は調べに走り回るが、下手人は…。

半年くらい前にも読んだんだよね、この本。そのときもなんだかつまらない本だなあ、と思った。ラストが割り切れない感なのが駄目なのかな? とも思ったんだけど、今回再読して、そういう問題じゃない、とわかった。

多分私の時代小説の基準は宮部みゆき氏にある。特に江戸時代のものは。彼女の作品と比べてみたら、そりゃあたいていの新人は格下だよね、と思わないでもない。

でも。この作品の弱点は、そういう基準とは違うんじゃないかな。

あのね。伊佐治がつまんないんだよね。同心の信次郎も遠野屋の清之介も二十歳そこそこの若造、っていう設定で、語り手の一人である伊佐治は40歳台。多分半ば。なのに、貫禄がないというか、描き方がうすっぺらい。思いかえすに、他のあさの氏の作品も、貫禄のあるどっしりした大人というのが出てこない。年は多少いっていても、子供心を残した大人だったりする。「バッテリー」のおじいちゃんくらいかな、いい味出てるのは。でも、「いい脇役」くらいの位置だしなあ。

あさの氏が描く若い子たちには感嘆する。すごい。素晴らしい。その半分でいい、伊佐治が魅力的なおじさんだったら、この話、もっと面白くなってる気がするんだよね。




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遠きに目ありて 遠きに目ありて
価格:¥ 756(税込)
発売日:1992-12

創元推理文庫

これはもう古典の作品かな。文章にも、いくらか時代色があります。

真名部警部は、とあるきっかけで知り合った信一少年の希望に沿って、手がけている事件の内容を教えることに。するとこの信一くん、脳性まひのため言葉も不自由で、車椅子にのらないと移動できない体なのだが、卓越した推理力を見せ、難解な事件を解決に導いた。以後、何かあると真名部警部は信一くんに相談を持ちかけることとなり…。連作短編集。全5話。

「密室物」を中心にした犯人あてがメインの本。読み返してみると伏線の周到さが解る。安楽椅子探偵ならぬ車椅子探偵で、情報はほとんど警部が語ることになる。ということは、もちろん、信一くんが「こうじゃないかな」というときには読者にも犯人がわかっていいはずなんだけど、残念ながら全敗。はっきり言って、信一少年を探偵役にすえなくても、作品としての出来は一流。

この作品が書かれた当時(昭和51年)、今よりももっと「障害者」に対する世間の目は偏見に満ちていたわけで、よくこの作品を書いてくれた、と思いながら読んだ。真名部警部にしても、最初は信一くんが話すたびに「かわいそうに」とか「痛々しい」とか考えていた訳だし。「こういった子にしては」明晰だ、と思っていたのが、本当は俺より頭がいいんじゃないか、と考えを変える部分は心を打つ。

作中で出てきた文章で一番心に残ったのは、

(苦労してタイプを打つ信一少年を見た真名部警部が)この子には、これほどの苦労をしてまでも、伝えたい意思があるのだ。

と気付く場面。

障害というのは微妙な問題で、それぞれのケースでそれぞれの対応が必要になったりするんだろうけど、私は一番いいのは「普通に接する」事だと思ってる。同情しない、憐れまない、一個の人間として対等に付き合うこと。それは自分と同じ行動を要求することじゃなくて、背の低い人には高いところにあるものをとってあげるように、力のない人には重い荷物を持ってあげるように、心遣いは必要だけど。

そして、真名部警部もだんだん、自然に接するようになっていく。障害をひとつの個性のように受け入れて。道を一緒に歩いては歩道上の障害物が多いことに腹を立てたり、入り口が階段状になっている建物に文句を言ったりしながら。(当時、バリアフリーという概念はないので)

こういった部分が、作品の深みへと繋がっている。佳品とか傑作とかほめ言葉は色々あるけれど、私は「読まれるべき作品」だと評したい。

願わくば、今回の私の未熟な文中にある言葉が、実際に障害を持つ方の心を傷つけることがありませんように。




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家守 家守
価格:¥ 660(税込)
発売日:2007-01-11

光文社文庫

昨日書いた「λ」についてやりすぎだったかと思い、フォローの意味も込めて「F」について書こうとしたのだけど、上手くまとまらず断念。近いうちに必ず。

で、息抜きがてら読んだ正統派ミステリ短編集。

帰宅した夫が発見したのは妻の死体。死因は窒息。家全体が完全に戸締りされた密室状態で、他人の出入りの余地はないため、ナイトキャップが顔にかぶさったのが原因の事故死と見られたが、捜査員の一人が不自然な点に気付き…。(表題作より)

「館物」系、密室物、謎のアルバイトなど、いろんな味付けをしつつテーマは一貫して「家」。それも人の住む家。そこでおきる事件(事故?)。

派手な作品ではない。むしろ地味。けれど端正な、王道のミステリ。伏線の張り方、ストーリーの展開、どれをとっても名手の手による作品だなあと思わせる。初心者が読むにも適してるかも。ときどきこういうのが読みたくなる。といっても古い感性の作品というわけではないので、ご安心を。

私が好きなのは「埴生の宿」。どこに向かってるんだ? と思いつつ読み進めた。トリックのさじ加減が絶妙。




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