山田氏の本を読むのは「リアル鬼ごっこ」以来2冊目。私の中では評価が低い作家さん。それを読もうと思ったきっかけは、息子の小学校で「わがクラスのお勧め本」に山田氏の本がトップスリーを占めているクラスがあったから。マニアがいるのか、小学生に人気があるのか。お手並み拝見、って気分です。
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@ベイビーメール 価格:¥ 540(税込) 発売日:2005-07 |
ある主婦の謎の死。破裂したように見える腹部。彼女は妊娠などしていないはずだったが、傷の中からはへその緒と胎盤が発見された。一月後、同じような死体がまた。どうやら彼女たちはその死の前に「ベイビーメール」と言うタイトルのメールを受け取っていたらしい。何がおこっているのか。主人公・雅斗は、同じメールを受け取ってしまった恋人を救えるのか?
私の評価が低い理由。文章が簡潔すぎるから。
たとえばバーベキューに行く場面。キャンプ場の河原と書かれて終わりになってしまう。さてそこは暑いのか涼しいのか、林の中なのか整備された土地なのか、木漏れ日の中なのか日差しが照りつけているのか、他に訪れている人はいるのか、いるとしたらどんな人たちでどのくらいの距離があるのか。ストーリーに関係ないといえばない。書き込んでなくても差し支えはない。だけど、なんというか、すわりの悪さを感じちゃうんだな。脚本家出身の人がかいた小説に多いんだけど、ト書きのような文章。あるいは、漫画をそのまま文章に直した感じ。(漫画はそれでもいいのである。一枚の背景でどれだけ沢山の情報を読み手に伝えられることか。でもそれを不自然なく文章に変換できるのは書き手の技量が必要でしょう)
下手に場面説明がこちゃこちゃ出てくるより、小学生にとっては読みやすいのかも。
決して説明過多の文章がいいといっているわけではないんだけど。もっと書き込んであったらこの場面怖いだろうなあ、と思わせるところ随所でした。ストーリーは良いんだけど。
(70点)
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真夜中のマーチ 価格:¥ 600(税込) 発売日:2006-11 |
青年実業化気取りのパーティー屋・横田は、自分主催のパーティーにやってきていた「三田物産の三田」という男を詐欺にかけようと暴力団の組員に助力を頼む。ところが、三田財閥の御曹司だと思っていた三田は、ただの同姓で、小さな町工場の息子だった。組に借りを作ってしまった横田。その借りを盾に理不尽な仕事を押し付けられ、なんとかしようと画策するが…。
登場人物が皆面白い。本当に黒い悪党はいない。(いるんだけど文章ではそう感じられない)
いかがわしいというか、うさんくさいというか、悪党ならぬ「プチ」悪党たちが、自分の欲望をかなえる為突っ走って(方向が少し常識とずれていておかしい)、その道がクロスした結果誰も予想しなかった方に物事が転がり出す、と言った話。奥田氏お得意の、ちょっと笑えてすいすい読める本。帯によると「新たなるスラップスティック小説」らしい。
良くも悪くもエンタテイメント。あまりごちゃごちゃ考えずに本を読みたい気分のときにうってつけ。
(75点)
| 僕たちの戦争 価格:¥ 820(税込) 発売日:2006-08 |
双葉文庫
現代のフリーター健太と、昭和19年の海軍航空隊に属する青年吾一の二人の体が入れ替わってしまった。二人とも見知らぬ世界に驚きつつも、もとの時代へ戻る方法を探し、懸命に生きる努力をするが…。
去年スペシャルドラマにもなった作品。私は原作未読だったんで見てないんだけど、周囲の評判は悪くなかったみたい。
何故健太と吾一がそっくりなのか? とか、何故二人が入れ替わったの? とか、そういうことは気にしなくてもいい話です。違う世界に放り込まれた二人が、周囲の誤解を利用して、お互いの立場を借りて、恐る恐る「今」を探っていく過程は秀逸。設定的には目新しいものではないですが、荻原節は健在です。シリアスな場面に見せて、くすりと笑わせる。かといってぬるくなり過ぎない。
ラストは賛否両論あるかもしれないけど、私は好き。何もかも割り切れることが絶対ではないと思うんで。
ネタばれかもしれないけど、実は私が「やられた!」と思ったのはこの文章。吾一が東京の雑踏を見た場面。(一部省略あり)
「これが自分たちが命を捨てて守ろうとしている国の50年後の姿なのか?
吾一達は皇国を守る盾になれと教えられた。
何を守るために?
国土か?
天皇陛下か?
色とりどりの髪と服で着飾って街を歩き、あらゆる品々を買いあさり、あらゆるものを食い尽くすこの者たちの親や祖父母をか?
服を着せた犬をか?」
彼等が命がけで守ったはずの天皇陛下の顔も知らない若者が増え、そもそも戦争があったことも知らない子供たちがいる、現代。消費が美徳とされる時代を見せ付けられて、呆然とする吾一。「ペットは家族です」なんて、彼等が見たらたわごとにしか思えないだろう。私が、いま、当たり前だと思っていることが、ほんの数十年前には常識はずれだったこと。(毎日使ってる紙おむつなんかもそうですな)忘れないようにしよう、と思ってても、日常にまぎれてなあなあになっていること。
そんなことを考えながら読みました。そういう意図の本ではない気もするけど。
(85点。作者のファンとしてはもっと高い点をつけたい気もする)
| 精霊の守り人 価格:¥ 580(税込) 発売日:2007-03 |
新潮文庫
女用心棒バルサは、川に落ちた皇太子チャグムを助けたことが縁で、母親からチャグムを託されることに。体の中に「この世のものならぬ何か」を宿したチャグムは、父帝の差し向けてくる刺客に命を狙われていた。夏至までに「何か」の正体を見極め、何らかの手を打たないと、チャグムも、バルサも、命を落としてしまう。間に合うのか?
解説の恩田陸氏が書いているんですが、「日本の異世界ファンタジーは、児童文学、ゲーム、漫画、ライトノベルなどに細分化され、よほどのヒットにならないと一般の読者までその面白さが伝わってこないのが現状だ」と言うのには全面的に賛成。今はクロスメディア化も盛んで、ゲームから漫画へとか、小説からアニメへとか言うこともありますが、まあ対象になっている年齢層はさほど変化しないですよね。成人が児童書の名作をチェックするのって難しい。この本も、「面白い」と言う評価は聞いていたんだけど、文庫にならなかったら読まなかったかもしれない。
で、読んだ感想はというと。
きっちり作り上げた世界観、創国の伝承は見事。難解にならず、でも隙がなく仕上げてある。キャラクターの存在感、個性もいい。そして何より、スピード感。アクションシーンが、脳裏に浮かぶ。
いい。面白い。
でも。ここで大人の読者としては、物足りなさも感じてしまうのです。もう少し、ボリュームが欲しい。もっと色々な場面を読みたい。この要求を満たそうと思ったら、続編が出てるんでそっちを読んでもいいんだけど。
いやもう、正直に言っちゃうとね、「十二国記」(小野不由美)を初めて読んだときの衝撃にはかなわないなあ、と思っちゃうんですよ。この本がどうしていままで子供向けって扱いを受けてたの? って感じがない。
ん〜…。面白いし、お勧めも出来るけど、絶賛は出来ないかな。
(今月から点数つけることにしました・70点)
先日それほど忙しかったわけではないと書いたばちが当たったのか、今週はほんとに忙しかった。というか、気忙しかったといったほうが正解か。やることはあれもこれもあるのに、気ばかりあせってちっとも物事が先に進まない。時間があれば本を手に取るはずの私が、一週間かけて3冊しか読めなかったんだから、我ながらあきれてしまう。本を読んでても集中できないんで、ちっとも進まないのだ。
というわけで、今月は集計出すのあきらめました。多分図書館の本は40冊くらい読んでるんだろうと思います。
そして、明日から10日ばかり出産の為入院してきます。では、また、10日後に。






