乱読にもほどがあるッ!
趣味? 読書です。毎日欠かさず本を読む、グータラ主婦の読書記録。
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あさのあつこ氏、初期の短編。文庫にて再販。売れてるんでしょうかね?

あかね色の風/ラブ・レター (幻冬舎文庫 あ 28-1)あかね色の風/ラブ・レター (幻冬舎文庫 あ 28-1)
(2007/04/12)
あさの あつこ

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陸上部で怪我をして自棄になっている遠子のクラスに転校生の千絵がやってきた。複雑な家庭の事情も屈託なく話す千絵に、遠子は不思議な魅力を感じる。 (amazon・出版社 / 著者からの内容紹介 より)

不器用で頑なな主人公・遠子が、化石好きの転校生千絵に出会って変化する話。
この遠子の性格が実にあさのあつこ氏らしい。冒頭、「引っ越してきたから仲良くしてやってね」という千絵の祖母に、『そんな事言われくらいで仲良く出来るわけない、そんなに簡単なものじゃないんだから』と考え、でも口は出さない、たった2ページのエピソードで浮かび上がる不器用さ。ここではきはき言うようなら、(それはそれで子供の癖に生意気とか言われるんだろうけど)親との関係もちょっと変わってくるだろうな。「バッテリー」の巧の原型、といわれると納得。
対応する千絵もいい。一見美少女で、人当たりがよくて、屈託がなくて、人の輪の中心にいるようなタイプなんだけど、実はいろいろ質問してくる人をわずらわしく思っていて、化石オタク。
べたべたしない、つるまない、一緒にいても話もしない、だけど通じ合っている二人。
ちょっとおせっかいな遠子の母親がアクセントになって、うまいまとまり方をしている。

泣かないから哀しくないわけじゃない。笑ってるから楽しいわけでもない。
文章ではっきり書かなくても、そういう「感情」を伝えてくるのは、やっぱりうまい。
無駄な文章のない、すっきりしたつくり。

併録の「ラブレター」も、恋のようなものをはじめて知った女の子の気持ちを丁寧に追った良作。

(76点)
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実に恩田陸らしい一編、でした。

ユージニア (角川文庫 お 48-2)ユージニア (角川文庫 お 48-2)
(2008/08/25)
恩田 陸

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あの夏、青沢家で催された米寿を祝う席で、 十七人が毒殺された。ある男の遺書によって、一応の解決をみたはずの事件。町の記憶の底に埋もれた大量殺人事件が、年月を経てさまざまな視点から再構成される。(amazon・出版社 / 著者からの内容紹介 より)

世間的には、「世界からの指令を受けてやった」という青年の遺書で解決したことになってる大量殺人事件。しかし、中心近くにいた数人は、「真犯人はこの人だ」と確信している、なのに法律では裁けない、というあいまいな事件。
周辺の人たちの証言と、過去の記録を再構築する形で事件はだんだん真相に近づいていきます。

時系列どおりに並んだ話ではなく、外側からじわじわと真実に近づいていく形なので、ちょっととっつきにくい上に難しい。
想像で補いながら、じわじわと、「あの時、何が起こったか」を考えていくのだけど、これがまたわかるようですっきりしない、迷いながら読み進むわけで。この辺が実に、恩田陸らしさが全開だなあ、と思います。
作品によっては、読者置いてきぼりになるんですが、この作品はバランスよくラストまでつれてってくれます。

そして、この作品の特徴は、「犯人を糾弾する形で終わらない」こと。
謎はすべて解けた、これで大団円、という終わり方ではありません。
すっきりしない、という方もいるでしょうが、この終わり方だからこそ、酔ったような余韻が残るわけで、私は嫌いじゃありません。

(78点)



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読書ブログなんかやってると、どうしても「今読んだ本」が中心になっちゃって、昔読んで絶対手放せなくって年に一度くらい読み返している本について書けなかったりする。今回、「音道貴子シリーズ」を書いてみて、これが実に楽しいことに気付いた。なんたって、引越しのたびに「この本は処分できない」と思って運んでくる本なんだから、愛着があるのです。こういう記事、少し増やそうかな。

嗤う闇―女刑事音道貴子 (新潮文庫)嗤う闇―女刑事音道貴子 (新潮文庫)
(2006/10)
乃南 アサ

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隅田川東署に移動してきた貴子。ある夜、強盗傷害事件の通報を受ける。被害者の主婦は、近所でも評判の面倒見のいい女性。犯人は彼女の殺害を目的としていたのか? それとも別の何かがあったのか? 近所に聞き込みに回る貴子たちだったが・・・。(『その夜の二人』 より)

短編集の中では比較的長い話ばかりを集めた作品。4編収録。

起捜のころに比べて、事件に派手さはない。もっと身近で、近所で起こるかもしれなくて、でも起こってほしくない、そんな事件。
私は「木綿の部屋」が今回のポイントだと思って読んだ。滝沢の娘の揉め事に巻き込まれるような形で一晩付き合う貴子。家の隅々まで手作りの小物で飾り立てなくては気がすまない、滝沢の娘の直子。嫉妬とか、猜疑心とか、実に女性らしい感情的な彼女(とか書いちゃうと女性蔑視かもしれないが)と、対照的な貴子。なんだかんだ文句を言いつつ、貴子に弱みを見せる滝沢。次の作品、「風のエピタフ」につながるような作品。
(だけど、この短編だけを取ってみたらあまりいい出来ではないような気もする)

それに比べると『その夜の二人』は刑事ものとして収まりがいい、佳作。周囲から悪意をもたれそうもない主婦が狙われた原因が、実に・・・ありそう、なのです。本当は人情味あふれたいい話、のはずが、受け取る人によっては真逆になりうるという、現代らしい話。「未練」のときも感じた、人の悪意の多様さについて考えさせられる作品。私はこれも好きです。

(75点)



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今日は「音道貴子シリーズ」の続き。

未練―女刑事音道貴子 (新潮文庫)未練―女刑事音道貴子 (新潮文庫)
(2005/01)
乃南 アサ

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ふと入ったカレー屋で音道は、男が店主に「こいつは俺の女房を殺した」と怒鳴る場面に遭遇する―男同士の絆が無惨に引き裂かれてゆく様子を描いた表題作。公園の砂場で保育園児が殺害され、その容疑者の素性に慄然とする音道…「聖夜」。監禁・猟奇殺人・幼児虐待など、人々の底知れぬ憎悪が音道を苛立たせる。はたして彼女は立ち直れるのか?好評の音道シリーズ短編集第二弾。(「BOOK」データベースより) 

時系列として「鎖」の前になる作品が2つ、あとになる作品が4つ。

中でも「山背吹く」が秀逸。「鎖」で心に負った傷を癒すために友人の経営する旅館に遊びに行った貴子。その町には元力士で、病気と怪我で引退した後身を持ち崩して犯罪者になってしまい、出所後地元で静かに働く青年がいた。そこでおきた人質立てこもり事件。くしくも貴子のトラウマに触れるこの事件が、彼女を立ち直らせるきっかけになる・・・。
犯罪者を捕まえるまでが刑事の仕事で、その後彼らがどう裁かれるのか、どう更正するのかは警察の仕事ではない。しかし、何度捕らえても性懲りもなく同じ犯罪を起こす人に出会えば、仕事の意義について考えてしまうだろう。どうやって裁いても、この人の中の「悪意」は消えてなくならないのだろう、と。そんな中、しっかり更正した人物と、それを支える市井の人に出会うというのは、得がたい機会なのじゃないだろうか。その彼が地元に受け入れられる瞬間を目に出来たなら、なおさら。
そういうキーポイント的な話を、さらっと書いてしまうのがこの短編集。

ただし、その直後の「聖夜まで」は幼児虐待をテーマにした、重くて苦しい作品。子供がいない貴子の視線から書かれていることで、本当につらい部分には触れずに、優等生的な書き方になっているのが残念。(というのは多分子育て中だから出てくる感想だと思います)

そしてラストの「殺人者」。タイトルとは裏腹に、人情ドラマの小品で、短い話なのにぐっと来る。「殺人者」を追っていたはずの刑事が、揺らぐとき。犯罪をおこしそうになるとき。医療の限界と家族の絆。・・・しみじみ、いい話。
これをラストにもってきたことで、読後感は数段よくなっているんだけど、本全体では重くて暗い話が多いです。音道貴子のファンなら読んで損はない、と思います。

(78点)



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音道貴子シリーズを一回休んで、先にこっちの感想を。

前作「観覧車」から続いてる話らしいのですが、どう探しても入手できませんでした。残念ながら、こちらを先に。
回転木馬回転木馬
(2007/03/13)
柴田 よしき

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夫の貴之が失踪して10年以上、留守を守って私立探偵を続けてきた唯。新潟で手がかりを掴んで、佐渡へと調査に向かう。ようやく掴んだ細い絆は、まだつながっているのだろうか・・・。

あとがきでも著者が書いているのだけど、この話の肝は「なぜ貴之が失踪したか」ではない。どうやって唯が貴之を探すのか、でもない。
貴之を探す過程で知り合った、幾人もの女性たちの心のゆれ。
もともと柴田氏は女性の気持ちを表現するのがうまい作家さんだけど、今作はなおさら。

愛人生活を経て、バーのママになった笙子。唯に共感して手を貸しつつ、最悪の事態を見たくないと祈る多美子。何もかも忘れて眠りたいと切望する言美。私はしみじみ共感しながら読みました。

そして、文章に透明感があるのも特徴。どれだけでもえげつなく書くことが出来る題材が混じっているというのに、下品な感じがしない。待ち続ける妻、という最大のモチーフが「美しく」書かれている。

わが身を振り返って、「15年待てるか」と考えました。多分私は待てないだろうなあ。子供の成長に気を取られている間に、気が付いたら15年、というのが一番近いんじゃないかしら。

(74点)



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