仏果を得ず (2007/11) 三浦 しをん 商品詳細を見る |
文楽の大夫修行中の健。ある日、師匠から、才能はあるがとっつきにくい三味線の兎一郎と組むように言われ・・・。
文楽とは何ぞや? と言う状態で読み始めた私ですが、何とかなりました。
ただし! 作中に文楽についての説明はあんまりありません。読み進むうちにどんなものかはわかってきますけどね。
文楽作品のストーリーについての説明は十分書いてありますが。
主人公の抱える悩みと、そのとき演じる作品をリンクさせた、連作ものになってます。
その悩みは恋愛だったり、人間関係だったり、芸の道だったり。
と言っても、人生の軸に「文楽」をすえてしまった男が主人公なので、人間関係にしてもなんにしても、結局は芸がらみになるんですが。
明るい感じの文章で、悩みは結構深刻だったりするんですけどさらさらっとっ読めます。
それでいてテーマは軽くない。
伝統芸能というのは難しい。お約束事も多いし、初心者にはとっつきにくいし。そんな中で生きていくと決めた人の強さ。これは好きじゃないとかけない文章だと思います。
文楽が見てみたくなりました。
(80点)
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