乱読にもほどがあるッ!
趣味? 読書です。毎日欠かさず本を読む、グータラ主婦の読書記録。
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辻村さんはミステリ要素がなくてもいいなあ。

光待つ場所へ光待つ場所へ
(2010/06/24)
辻村 深月

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いわゆるスピンオフ作品なんですが、元の話を読んでなくても楽しめると思います。ただ、これを読んでから元作品を読むと楽しみが半減かな…。
私の大好きな「僕のメジャースプーン」と「スロウハイツの神様」の人たちもでてきます。

収録されているのは3作品、
「光待つ場所へ」(画家を目指している女の子)
「チハラトーコの物語」(嘘を撒き散らしながら生きているモデルの子)
「樹氷の街」(クラス対抗合唱コンクールで伴奏を申し出た女の子、才能以外の動機の話)。

画家だったりピアノだったりしますが、どれも「神様から贈り物をもらった人たち」と「その周りで彼らほどの才能がないと気付きつつもがく人たち」の話になってます。

きらきらしてちくちく刺さる話。作中の人物が泣くときの涙の苦さも熱も、身に迫ります。
どうして辻村氏はこういう、胸が痛くなる話を書くのが上手いのでしょう。

(大好き! でも辻村初心者にはお勧め出来ないので85点)
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少し間が開いてしまいましたが、ようやくパソコンに向う時間が確保できそう。

遊戯 (講談社文庫)遊戯 (講談社文庫)
(2009/05/15)
藤原 伊織

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「現実とネットの関係は、銃を撃つのに似ている」。ネットの対戦ゲームで知り合った本間とみのり。初対面のその日、本間が打ち明けたのは、子どもの頃の忌まわしい記憶と父の遺した拳銃のことだった。二人を監視する自転車に乗った男。そして銃に残された種類の違う弾丸。急逝した著者が考えていた真相は。 (「BOOK」データベースより)


遺作です。
一章ずつ発表された長編小説、といった感じ。

ゲームサイトで知り合った30代男性と、20代女性。
男性は実母との関係が思わしくなく、一人暮らし。父の遺品となる拳銃を隠し持っている。全体に少しすすけた感じの男の人です。
対する女性は積極的で、エネルギーにあふれている感じ。モデル事務所に所属し、でも「モデルとして生活できるわけがない、普通の仕事に就かないと」と考える現実性があり、少しだけ型破りのところが好印象な感じ。
この二人が知り合って、事件が起こって…というところでこの話は終わっています。
未完です。
現れた自転車の男は何者か、父の持っていた拳銃にはどういった意図があるのか、二人の関係はどう発展していくのか、続きが気になるところなのですが、もう続きが書かれることはありません。

残念です。

最後に収められている「オルゴール」は切ない中編で素敵でした。

(点数をつける話ではないかと)



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珍しく海外文学。

停電の夜に (新潮クレスト・ブックス)停電の夜に (新潮クレスト・ブックス)
(2000/08)
ジュンパ ラヒリ

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9つの作品からなる短編集です。

各作品の主人公たちにつながりはないのだけど、共通点があります。
「インドからアメリカへ移民してきた人たち(と、その子孫)」。
全編通して、かすかに漂う寄る辺ない感じが切ない作品たちです。

といっても、哀れみを誘うような文章ではない。
主人公たちは淡々と日常生活を生きているだけで、自分たちの風習を誰かに強要しようなどとは思わずに、ひっそりと町の片隅で生きているだけで、…なのにどうしてこんなに切ない物語なのでしょう。
主人公たちは不幸ではない。かといって、幸せでもない。
大きな問題があるわけではないけれど、満たされているわけでもない。
彼らを満たさないのは、彼らのルーツとは異なる空気や文化なのかもしれない、と感じました。

表題作の「停電の夜に」が象徴的。
毎晩の短い停電の時間に「今まで内緒にしてきたささやかなこと」を打ち明けあう若い夫婦の話です。
彼らは仲良さげですが、実は大きな隔たりを隠し持っています。それがゆっくりと明らかにされていくのです。
短い話なのに「人生」を感じます。良品です。

ただし、主人公たちが幸せとはいえない話が多いので、続けて読むとずっしり疲れます。ご注意を。

(80点)



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これこれ! こういうのが読みたかったのよ。

ニサッタ、ニサッタニサッタ、ニサッタ
(2009/10/21)
乃南 アサ

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最初の会社を勢いで辞め、二番目の会社が突然倒産し、派遣先をたて続けにしくじったときでも、住む場所さえなくすことになるなんて、思ってもみなかった。ネットカフェで夜を過ごすいま、日雇いの賃金では、敷金・礼金の三十万円が、どうしても貯められない。失敗を許さない現代社会でいったん失った「明日」をもう一度取り返すまでの物語。 (「BOOK」データベースより)


最初の会社を辞めてしまったのは甘え、でもすぐ次の会社に就職したところはまだよかった。ふたつめの会社が倒産してからの、派遣社員すら勤まらないだめっぷりのリアルさに、泣けた。
働く意思がないわけでもない、働かなくては食べていけない自覚もある、でも「どうせなら体力を使わずに」「清潔な職場で」「嫌な思いをせずに」働きたいと思っていて、希望の職種じゃないから、派遣だと思って正社員のやつらがバカにするから、と次々に仕事をやめてしまう。何とか続きそうな仕事を見つけても、自分の不注意でそのチャンスを逃してしまい、気付くと住む家もなくし、クレジットに手を出し、それももう首が回らないくらいの額に膨れ上がり、もう本当ににっちもさっちもいかなくなってしまう…。

というところから、再生する主人公・耕平。

日雇いでも短期でも住み込みがあるのなら何とか働き、母親に心配をかけないために利息だけでも返済しようとする耕平がたどり着いたのは新聞店の住み込み。借金を一括で返してもらって、月々の給料から天引きで返すという契約。借金を返し終わるまではと、劣悪な環境でも、感情を殺して何とか何とか働き続けるのです。
ここの仕事が彼を変えたね。なんだかんだいっても借金踏み倒して逃げようとしないあたりが偉い。さらにこの段になってもまだ、親に心配かけないように、って気遣う気持ちもある。

作者のすごいところは、ここで改心したからもう安心だよね! っていう風に話を持っていかないこと、なのです。
ちょっとした油断からまた失敗することはある。それも、順調な生活で勢いがついてたから大きくなってしまった失敗を。
脇が甘いというか隙があるというか、どうも頼りない主人公なのです。

でも人間っていうのはそういうものかもしれない、前進してつまずいて、ちょっと戻ったところからまたやり直して、ちょっとずつしっかりしていく。
なかなか失敗した後に復帰するのが難しい社会だけど、それでも道はある。

最後が寝坊からはじまるエピソードなのもいい。冒頭でも寝坊の場面は出てくるけど、まるで別人。
成長したなあ、としみじみ。

(89点!)



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確かにこれは石持さんの好きそうな話だわ。

耳をふさいで夜を走る耳をふさいで夜を走る
(2008/06/17)
石持 浅海

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犯罪者目線の話といえば、「完璧に思えた犯罪計画が犯人のちょっとしたミスによって探偵に暴かれる話」という定型がありますが、この話はそれに当てはまりません。

並木直俊は、決意した。三人の人間を殺す。完璧な準備を整え、自らには一切の嫌疑がかからないような殺害計画で。標的は、谷田部仁美、岸田麻理江、楠木幸。いずれ劣らぬ、若き美女たちである。倫理?命の尊さ?違う、そんな問題ではない。「破滅」を避けるためには、彼女たちを殺すしかない…!!しかし、計画に気づいたと思われる奥村あかねが、それを阻止しようと動いたことによって、事態は思わぬ方向に転がりはじめる… (「BOOK」データベースより)


主人公の並木は、三人の女性を殺さなくてはならないと思い込んでいます。しかしそれは自分が捕まらずに達成できる条件がそろってから、のつもりでした。しかし並木は恋人に命を狙われ、彼女を殺害してしまう。これによって3人の殺害計画は、この夜中に決行しなくてはならないことになりました。彼女が先に俺を殺そうとしてた、これは正当防衛だ、そしてオレはこいつを殺害した後気絶していた、だからあの3人を殺害した犯人はオレではない、という論法で無実となるために。

この後彼が起こすいくつかの犯罪は、ミステリを読みなれている人ならいくつも穴を見つけられるほどずさんなものだし(返り血対策とか)、絶対に成功する訳がないことは解っているのですが、この話の肝はそこではない。
罪を犯す人というのはこうやって自分の都合のいいようにしか物事を考えないのかもしれない。
並木の考え方は普通ではない。どんどん視野が狭くなっていって、考え方も硬直してゆく。
心神喪失状態というのはこういうことかもしれない。
そして最後にいろんな物事が別な方向から光を当てられる、景色が一転する見事さといったら!

犯罪者サイドから描いた黒い話ですんで、あまり万人受けはしないものと思われます。
私もお勧めはしがたいですが、印象に残る話ではあります。

(71点)



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