![]() | 瞳の中の大河 (2003/07) 沢村 凛 商品詳細を見る |
山脈に囲まれ、孤立した王国。貴族だけが富を独占し、反発した野賊が内戦を起こし、国は疲弊していた。戦いを終わらせ、平和な国を取り戻す・・・。困難に立ち向かったテミズ大佐の生涯。
他の作品が不評なわけ、納得しました。
だってこれ、傑作だもの。これを念頭において、他の本を読んだら、「物足りない」って感想も出ようもんだわ。
荒廃した国。
お飾りの国王の下で、高級貴族たちが権利を奪い合い、富を独占している。民は奪われるだけ奪われ、疲弊している。貴族たちのやりように不満を持った人々が「賊」となって立ち上がり、国民のための政治を要求しているが、それがまた新たな争いの火種になり、民は虐げられ続ける・・・。
規範の緩んだ軍が、どれだけ害悪をまき散らかすか。愚鈍な政治家に治められる国が、どれほど疲弊していくか。
しかし、ほとんどの民が「こういうものだ」と思って、あきらめながら生きてゆく。
その中、軍人になったテミズが、指導力を発揮し、部下の心をつかみ、昇進し、あるべき姿の国を目指す。大河ドラマです。
そして、作者の視線は決して、登場人物の一人に近づきすぎない。
内面を描きすぎず、淡々と、しかし力を持って書かれる文章。
そして、後のストーリーで重要な役割をになうことになる登場人物たちの、登場の場面が実に印象的。登場人物は結構多めだと思いますが(一国の歴史書だから)、それぞれの人物にドラマがあります。
そして。
すべてが終わった後の、エピローグ。
「日は昇り、また沈み、そして日々は繰り返す」。
この章タイトルが表わすものがもう・・・一冊読み終えてみると、ぐっと胸に迫るものがありました。
(90点。傑作です!)
しかし。
残念ながら、この本、絶版です。
何とか、どこかで再販していただけないものか。
ランキング参加してます。


以前千砂さんにお薦めしていただいたものの、なかなか読めずにいたのですが、ようやく読むことができました!
良かったです。すごく。
エピローグの一番最後の台詞、意外でしたが素敵な終わり方でした。
沢村凜さんの著書は『黄金の王白銀の王』とこれしか読んでいないので、他のを読むのがちょっと怖いです…二大傑作を先に読んでしまったなんて~^^;
その二冊を読んでしまったら、他の話はちょっと物足りないかもしれないです!
特に現代ものは。
「リフレイン」はよかったですよ。
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