乱読にもほどがあるッ!
趣味? 読書です。毎日欠かさず本を読む、グータラ主婦の読書記録。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



ランキング参加してます。 にほんブログ村 本ブログへ 人気blogランキングへ
何で年明け早々こんな暗い話を読んでいるのか。いや、面白いのだけれど。

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。
(2009/09/15)
辻村 深月

商品詳細を見る


“30歳”という岐路の年齢に立つ、かつて幼馴染だった二人の女性。都会でフリーライターとして活躍しながら幸せな結婚生活をも手に入れたみずほと、地元企業で契約社員として勤め、両親と暮らす未婚のOLチエミ。少しずつ隔たってきた互いの人生が、重なることはもうないと思っていた。あの“殺人事件”が起こるまでは…。辻村深月が29歳の“いま”だからこそ描く、感動の長編書き下ろし作品。 (「BOOK」データベースより)


傑作です!

誰もいない家で腹部を刺されて死んでいた母。その現場から失踪した、娘・チエミ。チエミの幼馴染のみずほが、チエミを探して友人や知人たちのところを訪ね歩くといったストーリーです。
が。
筋書きもいいのだけれど、女たちの心理描写が秀逸です。
親元に住みながら、「娘代」だといって当たり前のように親にお金をかけてもらうことが当たり前の、人生の途中に「幸せな結婚」(それも20代のうちの)を描いているような、オンナノコたち。結婚して次のステージに進んだ女たち、進みそこねてあせる女。結婚を人生の目標におかない女性から見たら、あきれるほど幼稚な論理で進む話。
そしてその母。緩やかに娘を縛る母、愛情という名の束縛、しつけにごまかされた虐待。

世代の違う女たちの描写が、実にいい。

チエミの家庭が共依存といっていいほど仲がよすぎた家族だったからこそ起こってしまった悲劇。
いったい母親が死んだ事故の現場で何が起こったのか、何故、チエミは逃げ続けているのか。
その謎はストーリーの根幹に漂っているけれど、「読者をだます」ための謎ではない。もっとまっすぐ、物語と向き合った作品だ、と思いました。「太陽の坐る場所」の感想で以前書いたことが、当たった気持ち。ほおら、もっとまっすぐ書いたって面白いじゃないか。

作者がまだ若いからか、登場人物たちの考えに青いところも見られるのだけど、そこがまたこの作品の魅力。
角田光代氏の「対岸の彼女」を連想しながら読みました。

(90点!)

この作品が直木賞をとっても驚かないな、と思いながら読んでいたら、本当に今朝候補に挙がってるのを発見した。今回の候補は読んでいる作家さんが多いので、結果が楽しみです。
 
 
ここからネタばれです。

主人公、みずほが読んでしまった、母のとある手紙。みずほは「お母さん。これは、ひどい」というのだけど、私はこの母の気持ちもわかるのです。
私のやったことは間違っていたのかと苦悩し、しかし当人に「そうだ」と認められることが怖く、関係ない第三者に「間違ってません」といってもらいたい母の気持ち。

しかし独身のみずほは、もう母と仲良くできない、と否定する。

なのに。
まったく別の場面で、結婚して子供がいる友人に、
「母親になるとさ。悔しいけど許せちゃうんだ。全部わかっちゃうから」
という台詞をさらりと言わせてしまったりするんですよ!
この友人がどんなトラブルを母との間に抱えていたのかははっきり書かれているわけではないけれど。みずほの抱えていたそれより、ずっと軽いものであるかもしれないけれど。
それでも、「娘」から「女」になり「母」になる心境の変化を、これだけ短い場面でしっかり書いてしまうとは!

母親になったみずほが、将来、自分の母のことを思い返してどんな感想を持つのか、知りたい、と思った。



ランキング参加してます。 にほんブログ村 本ブログへ 人気blogランキングへ

テーマ:本読みの記録 - ジャンル:本・雑誌

コメント
この記事へのコメント
千砂さん、あけましておめでとうgざいます。

びっくりしました~。年明け早々私と同じようにこんな暗い本を読んでいる人がいることに!いや、おもしろいのだけど。

しかも『太陽の坐る場所』と『対岸の彼女』を連想しながら読んだとこも同じでびっくりしました!

今までの辻村さんの作品も好きだけど、今回のは作者の意図した技巧がなく(まぁ、それも意図かもだけど)、それがすーっと入ってきてよかったです。
2010/01/06(水) 23:52:41 | URL | なぎ [ 編集]
>なぎさま
暗いですよね。面白いけど。

この人の話は絶対、ひねらないほうが面白いと思っていたのに、ミステリの手法にとらわれすぎている感じがして・・・。「太陽の坐る場所」はそれがいまいちだったので、今回は万歳!でした。

おんなじことしてる人っているんですね。びっくりです。
2010/01/07(木) 23:56:41 | URL | 千砂 [ 編集]
なぎさんのところから、きました。はじめまして。ほっそです。
先月にこれを読み、年末年始に「聖なる黒夜」を読み、今日「無理」を読みました。
この時期、どちらかというと気分が晴れない私。落ち込んでばかりでした。
2010/01/11(月) 12:54:03 | URL | ほっそ [ 編集]
>ほっそさま
すごいラインナップですねえ。
それは確かに続けて読むと落ち込むかもしれないです。
どうぞこれからもよろしくお願いします。
2010/01/15(金) 23:12:38 | URL | 千砂 [ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://sensa.blog121.fc2.com/tb.php/1170-b3deaee1
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
30歳という岐路の年齢に立つ、かつて幼馴染だった二人の女性。 都会でフリーライターとして活躍しながら幸せな結婚生活をも手に入れたみずほと、 地元企業で契約社員として勤め、両親と暮らす未婚のOLチ...
2010/12/08(水) 01:34:22 | 粋な提案
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。