なんか話題の作家さんだよなあ、読んだことないけど。そう思っていたのを、ようやっと読んでみました。
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赤朽葉家の伝説 価格:¥ 1,785(税込) 発売日:2006-12-28 |
鳥取の旧家、赤朽葉家。労働者階級から望まれて輿入れし、「千里眼奥様」と呼ばれることになった万葉。その娘で族のトップとして中国地方一帯に名を馳せ、引退して漫画家へ転進した毛毬。さらにその娘のわたし、瞳子。高度成長・バブル時代を経て現代に至るまでの三世代の女性を描いた物語。
正直に言おう。読む前は「つまらなさそう」と思っていた。それほど大きな事件があるわけでなし。旧家なんてものには興味ないし。鳥取なんて縁もないし。普通の時代小説のように淡々と日常が語られていくだけなら、結構長いから途中で読むの苦痛になるんじゃないかとさえ、思っていた。
全然ちがう。脱帽。
まず、万葉の生い立ちの不思議さに引かれた。「山の民」に忘れられていった子供。拾われっ子とののしられても泣きもしない。地方都市の階級社会の底辺の方で、だれを恨むでもなく妬むでもなく、日々の勤めをこなす生活。千里眼の能力に振り回されてるが、それで彼女の芯が揺らぐわけでもない。苦労について語られないのは万葉が瞳子に語らなかったからか、瞳子が綴らなかったからか。嫁ぎ、出会い、子をなし、育て、心の中に潜んでいる悲しみについてはだれにも告げず、町の主要産業を支え続けて生き抜いた女性。装飾は少なめで淡々と語られているのに、引き込まれるように項をめくった。
何より、赤朽葉家の先代の奥様、タツのキャラクターがいい。万葉のように特殊な能力を持っているわけではないけれど、時代の流れを読む能力を持っていて、彼女が決めたことにはだれも逆らえない。でも暴君ではなく、ちゃんと夫を立て、嫁を大事にし、自分の受け継いできたものを次へ伝えることに全力を尽くし。可愛い、素敵なおばあさま。
一度引き込まれたら後はもう一気だった。瞳子の章はちょっとスケールダウンした感じもするけれど、現代の方が昔に比べて突出した人物がいないのも事実だし、時の流れを良くとらえた話に思う。最後に明かされる謎を持って、この作品をミステリと呼ぶ人もいるみたいだけど、そんなジャンル分けの必要ない、力を持った本。
(83点。個人的に思い入れがあればもっと違う評価でしょう〉
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読みました! これまで千砂さんがこの作者の本を何回かとりあげていたので、図書館で手に取ったりしてみたのですが、帯を読んでもいまひとつ食指が動かずいたのです。
でもでも、ようやく読んでみたら、引き込まれました~。昨日は一日、赤朽葉家のあたりをふらふらとさまよっていたような(笑)。
読んで良かった(^^♪ どうもありがとう!
「本当に面白いの?」って。
でもよんでみると面白いんですよ。「このミス」とかの賞に選ばれてるのも納得。
お役に立ててよかったです♪
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