乱読にもほどがあるッ!
趣味? 読書です。毎日欠かさず本を読む、グータラ主婦の読書記録。
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今回は書評風に。ネタバレありで書きますんで、ご了承ください。

スパイラル・エイジスパイラル・エイジ
(2005/06)
新津 きよみ

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美樹は夫と子供の代わりに自分の力で2LDKのマンションを手に入れた40女。偶然、駅で出合った雪乃とは、高校の時の同級生だった。彼女の弟が縁日ですくった金魚がまだ生きていると知らせたら、休日に突然訪問してきた。金魚を見ながら昔を懐かしんでいたかと思うと、雪乃は突然「人を殺してきた」と告白する。自首する前に一晩だけ情をかけて雪乃を止まらせてあげる美樹。

休日に突然押しかけてくる元級友、しかもそれほど親しかったわけではない、という、この人ずいぶん常識知らずだな、というところから話は始まる。ところがその常識のなさが殺人という行為によって引き起こされているわけで、これは怖い。なのに雪乃は冷静だし、「刑務所に入ってる間髪も肌も十分に手入れできないのが辛い」と日常の延長のようなことを言う。
・・・この、淡々とした感じが、怖い。

美樹はあくまで一晩泊めるだけ、翌日には警察に言ってくれと言うし、雪乃も了解したはずなのだけど、翌日美樹の元不倫相手の奥さんが美樹のマンションに訪れてきたことで歯車が狂い出す。

雪乃の妊娠が発覚する。

せめて出産までは警察に捕まりたくない、ここで出産させてほしい、という雪乃を突っぱねられない美樹。ずるずるとした同居生活が始まる。

ここまで読んで、この作品にかけているのは「罪悪感」だと気付く。
人を殺してしまった罪悪感、殺人者に対する忌避感というのがこの2人の間にきれいに欠け落ちている。
仕事をして自宅に帰って、雪乃がいて、なのに食事の支度が出来てない事にむっとする美樹というのがその象徴。殺人なんて日常とかけ離れたことより、毎日の食事の方が大事、といわれているようだ。美樹は雪乃の作った食事を食べることに抵抗は感じないのだろうか?

一方、美樹と雪乃の章にはさまれるようにして綾子の章が語られる。
美樹の元不倫相手の妻で、美貌を生かして読者モデルをするものの、姑とはなんとなくうまくいってないし、生きがいを見失っている専業主婦、といった役どころ。キャリアウーマンであるところの美樹とは対照的でもあり、押しの弱さといった面では美樹と似ているようでもあったり。
そんな綾子が、美樹の家に押しかけたとき偶然家にいたのは雪乃で、雪乃はとっさに美樹の振りをするが、後で綾子は彼女が本当は美樹ではなかったと知る。本物の美樹の元に押しかける綾子だが、美樹に「あれは殺人者でいやいやかくまっている、話をしたいならこれこれこうして連絡とってくれ」といわれ、雪乃に会いに行こうとするものの、姑の入院に取り紛れてのばしのばしになってしまう。
ここでも、「殺人者」に対する忌避感は薄い。

綾子と美樹が周囲に翻弄されているうちにどんどん月日は流れ、雪乃の出産の日が迫ってくる。

40歳という年齢、出産するならぎりぎりかもしれないという思い、置いていく自分の肉体に対してのあきらめきれない気持ち。これが身に染みるように解るのは、やはり私も40の声が聞こえてきた女だからか。
日々過ごしていくのが優先で、大きな変化があってもいつの間にかそれが日常になってしまう無気力感、これが実に「スパイラル・エイジ」=女性の体が大きく老いに向かって変化する年代にふさわしい、というのは冷淡かもしれないが。

最後に雪乃は無事出産し、子供をとある人に預けて自首する道を選ぶ。結果的に協力することになってしまった綾子と美樹は、それを淡々と見送る。

結局最後まで雪乃は殺人について後悔する事はないし、美樹や綾子が雪乃を断罪する場面もない。
淡々と書かれているが、私はその部分こそ薄ら寒いような、怖さを感じた。
ホラー系の著書が多い作者ならでは、かも知れない。

(75点)



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テーマ:今日の一冊 - ジャンル:本・雑誌

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