ラットマン (2008/01/22) 道尾 秀介 商品詳細を見る |
高校時代から続いている、結成14年のアマチュアロックバンドのギタリスト、姫川。彼は昔、姉を事故で亡くしたが、その事故に父が不審な形で関わっていた事を知っている。そんな折、姫川の彼女でバンドの元メンバーのひかりが、貸しスタジオの空き室を利用した倉庫で死亡して・・・。
このね、結成14年のバンドが、ちょっと切なげでいいのです。もう、みんな30歳。バンド以外の生業も持っている。そこに貸しスタジオが一月足らずで閉鎖するという話が飛び込んで、否応なしに変化していく状況。気の会う仲間と今までやってきたけど、「青春の終わりがやってきたかもしれない」感じ。出だからぐうっと引き込まれます。ところがそのまま不自然じゃない流れで「事件」が起こる。
姫川目線で話は進みます。姫川が「偽装工作」をしたところも書かれてます。
んが、警察が捜査して姫川の偽装を見破って、大団円・・・ではありません。
書かれていない部分の重要さ。もちろんちゃんと「ミステリ」だから、嘘の記述はないのです。ただし、「一度そうだと信じてしまうとそうとしか見えなくなる」心理をうまく使ってます。
過去の姉の死も絡めて、事実が二転三転する面白さ。これぞミステリ。気持ちよく騙されました。
(88点! 傑作です)
ランキング参加してます。
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)