![]() | 薄闇シルエット (2006/12) 角田 光代 商品詳細を見る |
人生の勝ち負けの定義など、誰が分かるというのだろうか。
ハナは下北沢で古着屋を経営している37歳。仕事は順調、というかむしろ勝ち組。ある日、恋人から結婚を迫られたことを契機に、恋愛と仕事について模索していくことになり…。生き惑う女性の心情を描く極上長編小説。(出版社/著者からの内容紹介)
前半はすごく感情移入して読めたんだよね。
友人に、あんたたちこれからどうするの、と聞かれて、「結婚するんだよ」「俺がちゃんとしてやらなきゃ」と答える彼氏。
どうして私がちゃんとして「もらう」んだろう。どうして、結婚して「もらって」、私が喜ぶってみんな考えてるんだろう。そんなの、しなくたって、私はなーんにも困らないのに。
30代も後半、自分でしっかり生活していく女性としては、持って当然な考え方。
そしてそれをきっかけに、「家族と自分」「仕事と自分」「彼氏と自分」について考え出す主人公のハナ。・・・遅い! 10年早く考えとけ! というのは個人的な感想で、作品の良否とは関係ないんですが。
うん、すごく気持ちがわかるし、自分の将来について考えたとき、地面がぐらっとするような感じもよく書けてる。女性の弱さ、汚さ、隠しておきたいところ、どうして角田氏はこれほどよく書けるんだろう。
しかし、後半部分が私にはわからない世界だったのだ!
亡くなった母が大事にとっててくれた古着を利用して何かできないか考え、布の絵本を作ろうとするハル。でも素人なので、自分では上手にできなくて協力してくれる人を探し・・・この、もろもろの過程が、ハナが一段成長するきっかけになっている、と思うのだけど。ここ、まったく共感できなくて。
だって、布の絵本、って普通だよね?
図書館に行けば子供向けのプレイルームに何冊も置いてあるし、カルチャースクール的な講座も時々見かけるし、子供の思い出がこもった古着で作るってのが肝なのかもしれないけど・・・そういうのも、見たことあるなあ。
だから、主人公の「これがやりたい!」って気持ちに乗っかれなかった。ここから、どんどんそれて行っちゃった。
と、酷評はしたものの、それはエピソードのひとつで、全体としてみたら「ちょっとした引っ掛かり」程度のものです。空気感は、抜群にうまい。
(75点)
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