夜を着る (2008/02) 井上 荒野 商品詳細を見る |
東北のT温泉に「仕事に行く」と言い残してでかけていった夫。可能性は三つ。T温泉に旦那がいない。T温泉に旦那がいる。T温泉に旦那が女といる。夫を信じきれない妻は、隣家の男とT温泉に旅立つが・・・。(表題作より)
一言で表すなら、「寄る辺ない」。はっきりと大事件がおきたわけではなく、頼りない、淋しい、泣きたいような気分の、そんな短編8編収録。
それでいてウエットな感じはしない。泣かせよう、と狙ってる感じはない。「旅」をテーマにした話、と作者があとがきで書いているので、そのせいで余計に心もとない感じがするのかもしれない。「ここは私のいるところではないのかも」、的な。
細かいところまで描ききらない、ぼんやりとした不安感。
これは多分、この作者の持ち味だと思います。
(78点)
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