![]() | 蒼い月 なみだ事件簿にさようなら! (ノン・ノベル 852) (2008/08/29) 鯨 統一郎 商品詳細を見る |
連続強姦殺人事件。現場には「蒼い月」と署名が残されていた。一流の刑事たちが捜査に当たる中、別働隊の機平隊では「伝説のサイコセラピスト」波田煌子をアドバイザーに招く。ところが、煌子の元同僚の久美子が「蒼い月」にさらわれ・・・。
波田煌子の予想が変であればあるほど、その後の「実はこういうことで」という解明の意外性が引き立つのがこのシリーズのいいところ、なんだけど。
長編にして過去の因縁を取り混ぜてしまったので、その辺のスパッとした切り口はちょっと引っ込みがち、かな。
鯨統一郎氏の作品の特徴は、「人物を書き込みすぎない」ことだと思います。
「心」は存在するんだけど、それによって文章が流されたりストーリーが揺らいだりしない。
真実の吐露の部分に、変に感情移入して大きくページを割いたりしない。
それは「あるがままにただ存在すること」として、ストーリーの一部に組み入れられちゃう。
ちょっとあっさりすぎ? と思わないこともないんだけど、じゃあ書き込んだら・・・と想像すると、切れがなくなってしまうだろうなあ、と思えます。
なんとも「こういう系統」と分類しがたい、ちょっと違う話。
短編の方がストレートで好き、かな。この作品が面白くないわけじゃないんだけど。
(70点)
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