乱読にもほどがあるッ!
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お久しぶりの雫井氏。やっぱりこの人、普通にミステリ系の話書いてる方があってるよ。何でクローズド・ノートなんて書いちゃったんだろう。

犯人に告ぐ 上 (1) (双葉文庫 し 29-1)犯人に告ぐ 上 (1) (双葉文庫 し 29-1)
(2007/09/13)
雫井 脩介

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連続児童殺傷事件が起こり、捜査に行き詰っていた神奈川県警は、ニュース番組を通して犯人に呼びかける「劇場型捜査」に切り替えることを決断。出演するのは、6年前、誘拐事件の捜査指揮を誤り、閑職に飛ばされていた巻島。犯人を追い詰めるべく、テレビで呼びかけを開始するが・・・。

上巻の半分近くを使って語られる、6年前の誘拐事件。この部分で巻島が共感できない人物なら、この後を読むのが苦痛になりそうな気もする。いわゆる上の方の判断と、現場の捜査官たちの皮膚感覚にはさまれながら、「警察の理屈」で捜査する巻島。被害者の心情は置いてけぼりでこの部分が後に問題になるのだけど、しかし不自然ではない。まず、犯人を逮捕すること。それだけに向き合って視野が狭くなってるところは、人間くささを感じさせる。
そしてその直後の記者会見の場面。娘がICUに入っているという心情的に追い詰められた状態で挑んだ記者会見で、これ以上はないというくらい叩かれる巻島。マスコミって怖いよなあ、というところを見せ付けられる。

なのに、新たな事件で県警が選択するのは「マスコミを利用する」こと。
世間の注目を集めたい「劇場型犯罪」の犯人ならきっと乗ってくる、と判断しての決断。

6年前の事件と、今の事件と、大きく違うのは「津田長」の存在だろうな、と思った。
現場から一歩引いた捜査員で、周りの人間の心情にまで細やかに気を配る年配の刑事。犯人の興味を引く為に犯人を持ち上げる発言もしなくてはいけない、それを聞いた被害者の家族はどう思うかを真っ先に考える心配りの人。
この人が6年前の事件のとき、一緒に捜査にあたっていたら、いろいろと結果は違っていたかもしれないなと思わせる人。

そして劇場型捜査は始まり、内部の情報を他局に流す内通者がいたり、模倣者に振り回されたりしながら捜査は進んでいきます。
もともとお宮入り寸前の事件だったので、物証も少なく、この呼びかけに犯人が反応してくれなくなったらおしまい、という追い詰められた状態での捜査。なのにマスコミ関係者が求めるのは「視聴率」と「注目」。まさに諸刃の剣で、機密情報を漏らされたりしてピンチに陥りながら後に引けなくなっていく。ぐいぐい引き込む力はやっぱり安定した筆力があるからか。

そしてすごいなあ、と思ったのは「視点がぶれない」ところ。
たとえば昔馴染みを利用して情報を引き出そうとする他局のキャスターとか、巻島の家族とかの心情は、書き込もうとしたらいくらでもエピソードはあるだろう。でも、そこをあえてカットして捜査の周辺に焦点を絞っている。

今回、いつになく長い感想ですがそれだけ感心して読みました、ということで。
「かも知れない」という、細い糸を手繰り続けて、核心に近づいていく。人間ドラマとして読んでも面白いと思いました。

(88点)



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6年前の誘拐事件で失態を演じて左遷された警視の巻島史彦は、ふたたび神奈川県警に戻ってきた。 連続児童殺害事件の捜査がゆきづまる中、県...
2008/11/18(火) 13:07:20 | ぱんどらの本箱
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