![]() | 冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫) (2007/08/11) 辻村 深月 商品詳細を見る |
読み返してみて。
あちこちに、真相へのヒントが散らばっていたのが意外でした。重要な複線のひとつは、敏感な人なら開始後10ページくらいで「おかしいぞ」と気づくように出来てるんですね。
しかし、ストーリーが解っていても、やっぱりこの作品独特の、ぞくぞくする底冷えのする感じは減っている気がしないのです。
雪が降りしきる校舎。
閉じ込められた子供たち。
一人ずつ「消えて」行く子供たち。
ホラーとも違う、ファンタジー的な、でもぞくぞくする感じ。
作中の時期は12月なのだけど、この本は絶対冬に読むといいです。今回、外で雪が降っていたので、効果倍増でした。
この話の芯は、「学校祭の最終日に自殺してしまった友人」。
記憶が消されていて、最後までそれが誰かは明かされないし、原因もわからないまま話が進む。
そして明らかにされた「原因」は、想像がつくだけに、生々しくて痛い。
人間関係のひずみが集団内でどんどん増幅される様子は、心当たるだけにうまいこと書いてきたな、と思いました。
それなのに読後感は悪くない。
前向きな、「許された」感じがします。
欠点も目に付くくらいには私も読書慣れしてきたのだけれど、差し引いてもこの本は面白いと思う。
問題はこの長さ。読んでみるとあっという間なのだけど、分量は結構あります。
(点数はつけません)
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